ほぼ足りてまだ欲 その先

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セクハラ賠償確定

 またまた新聞記事からで申し訳ないけれど、ようやく国が認めた。これも政権交代による効果なんだろうか。それとも防衛省が変わりつつあるということなんだろうか。

 航空自衛隊の元自衛官の女性(24)が在職当時、道内の基地内で男性自衛官(35)から、わいせつ行為を強要されたとして国を相手に計約1115万円の損害賠償を求めた訴訟で、国側は12日、580万円の支払いを命じた札幌地裁判決について、控訴をしないと発表した。一審で判決が確定する。防衛省大臣官房広報課は「判決は、国の主張が理解を得られなかったものだが、原告の元女性自衛官の心情などを総合的に勘案し、司法の判断を受け入れることにした」とのコメントを出した。

 国側の控訴断念を受け、原告の女性は12日に記者会見を開き、「支援して下さった皆様に感謝を申し上げます。3年3カ月、長い裁判でした。自衛隊は、私のような事件が起こらないように、隊員一人ひとりの人権を守る組織に変わらなくてはならないと思います」と話した。

 判決は、男性が腕力でわいせつ行為をしたと認定。「事件後、上司たちが女性を退職に追い込もうとした」などと、自衛隊側の対応の違法性も認めた。(Asahi.com2010年08月13日)

 この事件は2006年9月に起きた事件で、女性自衛官は勤務中で、酔っぱらった同僚自衛官からボイラー室に呼び出され、暴行、強要、猥褻行為をされた上に「また相手をしてくれよ」といわれた。事件はこれだけではなくて、この件を上司に相談したら半年間にわたって、(自衛隊を)辞めろと、いわれ続けたというものだ。

上司を含む複数の男性隊員の同行を条件にしてこれを事実上拒み,それどころか逆に,深夜に無断で犯行現場(ボイラ−室)に行ったとし,あるいは飲酒をした疑いがあるとして,原告を懲戒処分の対象として取り調べ,外出制限などの不利益を科し,犯罪被害者としての保護も捜査も行なわなかった。(こちらのブログから)

 犯人の自衛官はいうまでもないが、もみ消そうとした現場自衛隊幹部の行動は恥ずべき行為だ。しかし、こういうケースは自衛隊だけに限らずあちこちに普通に発生している。この事件はセクハラ+パワハラという組織上の問題点が浮き彫りになっているが、正当な内部告発で職場を追われてしまったケースや、上司の自己保全のために職場から追いやられた人たちは数限りなくあるだろう。
 だからこそ、この女性元自衛官の3年3ヶ月にわたる闘いには頭が下がる。
 この記事で最も問題になるのは防衛省官房広報の「国の主張が認められなかった」というコメントである。なにかもバレバレの状態で、何が「国の主張」だ。これら航空自衛隊幹部の恥ずべき判断と行動を徹底的に取り締まるのが本省の役割であり、これでは沖縄で理不尽な日米地位協定をたてにやりたい放題の米軍とどこが違うというのだろうか。
 この事件を初めて「創」という雑誌で知った時は憤懣やりかたなかったのに、今回の記事が出るまで忘れていた私は本当に申し訳ない。