ほぼ足りてまだ欲 その先

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NHKハイビジョン特集

 たまたまテレビのチャンネルを動かしていたら遭遇したのがNHKハイビジョン特集で「叫び声が聞こえる 〜ジャーナリストたちのベトナム戦争〜キャパになれなかったカメラマン」という90分の番組だった。ベトナム戦争にカメラマンとして10年間取材をしていた元abcの平敷安常氏が当時、行動を共にした何人もの米国人ジャーナリスト、カメラマン、ベトナム人サウンドマン、同僚、北側のベトナム人カメラマンを訊ねて歩くドキュメント。NHKの当時のサイゴン支局のカメラマンや記者への取材も交えて、当時を振り返る。
 概ね、ここに登場する人たちは1930年代中頃の生まれで、当時はまだ20代後半だっただろうか。今街中で出逢ったら、このお爺さん達は一体なんだったろうかといぶかしく思うような人たちになっているのだけれど、実は当時を思い出すと涙なくしては語ることができない思いを抱えていることがわかる。
 「戦場カメラマン」や「報道カメラマン」の著書を持つ石川文洋も登場してきて中学生にベトナムの写真を見せ、今でも続く戦争を想像して見つめて欲しいと語りかける。
 あんな戦争を経験したあのアメリカがなんでまたジョージ・ブッシュ大統領を選出して、イラクでも、アフガニスタンでも戦争を続けているのだろうかと、考え込んでしまう。なぜ私たちはあの戦争を忘れ、その前のアジア太平洋戦争も忘れてしまえるのだろうか。そして、なにゆえにイラクアフガニスタンに大して軍隊を平気で派遣することができるのだろうか。abcのレポーターだった米国人が自分に向かって何事かを叫び続けたベトナム人女性の声を忘れられないと、風光明媚なふるさとメーン州の波打ち際で語る。米国に難民移民をしてきたかつてのabcのサウンドマンが貧困生活の中で「ベトナムに帰りたい」とつぶやく。あの戦争はなんだったのか。
 明日、22日(日)にNHK BS-hiで22:50から1975年のアカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー映画賞受賞「Hearts and Minds」のデジタル・マスタリングされたものが放送されるという。あれからもうすでに35年以上経つ。私たちはなんでも直ぐに忘れてしまうことに驚かされる。

キャパになれなかったカメラマン ベトナム戦争の語り部たち(上)

キャパになれなかったカメラマン ベトナム戦争の語り部たち(上)