こんなものが出版されていたことを知ったのは2010年6月に文藝別冊として河出書房新社から出版された「小沢昭一」の中にも収録されている網野善彦との対談である。私はこれまで小沢昭一はTBSラジオの「小沢昭一的こころ」の語りであり、かつての妙に生々しくイヤらしい役者としてだけだったし、永六輔が首謀者の年末の紀伊国屋のイベントでは自分の著作の集大成を6分冊で出したものをオークションにかけたら大した値段がつかなくて、ガッカリしていた爺さんだった。もちろん、私は彼には親しみを持っていたことは確かで、まぁ一種の爺さんのあり方としては面白いなぁくらいではあった。
しかし、かれがやってきた日本のいわゆる郷土芸能的な、時代とともにどんどんなくなってきてしまった芸能を本気になって記録し、歴史的な考証を真剣にしてきていたことを知って、今頃になって頭が下がって来ちゃったのである。
このシリーズは今やもちろんとっくに絶版となっていて、Amazonで古本を探すと、13巻なんぞは8,250円もする。こういう書籍(といって良いのだろうか)こそ地元の図書館が所蔵するべきだと確信するが、残念ながら浮き世の流れに流されまくっているわが地元の図書館ではかすりもしない。
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2010/06/15
- メディア: ムック
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