ほぼ足りてまだ欲 その先

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普通

 ローリング・ストーンズのミックジャガーは70歳にしてひいじいさんになったんだそうだ。おいおい、早いなぁ。きっと彼のことだから自分の子どもができたのも早いし、その子どもが子どもを作ったのも早くて、挙げ句の果てに孫が子どもを作ったのも早いのだろう。そうじゃないとこうはならんだろう。勝手なことを言うようだけれど。
 うちには孫はいない。子どもは二人いても。その上、私はロックンローラーでもないし、成功した事業家でもないし、紫綬褒章を貰った芸術家でもないし、そんな芸人でもない。ただの髪の毛がほぼ失われてきたちびでデブの爺だ。ちびでデブでもハリウッドで売れているイタリア系の俳優、デビートでもない。全くただの、電車に乗ると何度も席を譲られる様な爺だ。誰も知らない、爺だ。だから、子どもがいようといまいと、どこかへ出かけようと家に閉じこもっていようと誰からも何もいわれることもない。通りを歩いていてもよその人の耳目を集めることもない。その代わり、ヤバい病気になっても誰もどーネーションをしてくれるわけでもなくて、一流の病院で、魔法の手を持つといわれる医者の施術を受けることができる訳でもない。
 ごく普通に歳を取って、ごく普通に体力が失われていって、ごく普通に朽ち果てて、その辺で息絶える爺だ。ところで、その「ごく普通」ってのは誰が決めたんだろう。何かに秀でていないってことか。ならばそれだ。
 しかし、「私」は他にただのひとりもいない。