ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

長和

 土曜日。今日明日は街中は週末だから、もちろん混雑するはず。昨夜のうちに雨が降ったらしくて、朝出てみると車に水滴がついている。つれあいに聴くと夜の10時くらいから降っていたらしい。私は8時には寝てしまっていたからまったく知らなかった。夜中、丑三つ時に目が覚めると、どうりで屋根がうるさかったわけだ。
 というのはここの屋根裏には天井がなくて、そのままの天井になっている上にトタン屋根だから、横に立っている野栗の木から水滴が落ちたり、枝が落ちるのがちゃんと音になって聞こえる。つまり、存在感がある。
 ずっと以前は野生の猿の群れが来たことがあって、あの時は屋根の上を走り回るのが手に取る様にわかった。あれは怖かった。彼らは群れをなして現れ、人かになれているらしくて、玄関の扉の取っ手に飛びつく。それで開いたら中に入ろうという、ちゃんとした意思のもとで行動している。ベランダの柵の上にちゃっかり座って、ガラス戸の中の私を平然と見下ろしていたりする。この場合は完全に見ているものと見られているものとの逆転が生じていて、動物園で囲われているものの気持ちがわかろうというものだ。
 長和町には二つの日帰り温泉があって、ひとつは「やすらぎの湯」、もうひとつは「ふれあいの湯」という。どこにでもありそうな名前で、非常に覚えにくい。すっと頭に入るというより、ス〜っと通り過ぎるという感じだ。どちらも行ったことがありそうなんだけれど、どっちも行ったことがなさそうにも思える。どうせならと遠い「ふれあいの湯」に行ってみた。アプローチの道から「湯遊パーク」と大きく書かれたゲートをくぐるとすぐに右手に「コミュニティセンター」なる洒落たデザインの施設があり、正面の体育館の前を左に折れると、突き当たりが「ふれあいの湯」。
 とんがった屋根が印象的。なんだかとってつけた様な屋根だねと思いながら入ると、なんとその屋根の下は木組みのドームになっていて、そのホールに入ると思わず口をあんぐり開けて見上げてしまう。蜘蛛の巣が見えたのがご愛嬌だ。
 脱衣場には籠がおいてあるだけだから貴重品は入り口の無料貴重品入れか、風呂入り口横にある100円ロッカーに入れるんだけれど、どうせならただのロッカーを使うよなぁ。
 カランはそれほどたくさんある訳じゃないけれど、露天風呂の方にも二つある。内湯は何人かゆったり入れるくらいだけれど、「泳ぐな」と書いてあるから、すいている時にはそんな奴がいるのかも知らん。土曜日とはいえ、今日はガラガラだ。身体を洗ってから、そのまま露天風呂に出たんだけれど、お爺さんが(自分もそのうちだけれど)相前後して入ってきた。今日は風が爽やかで、湯船から身体を出していると肌寒いくらいだ。そのお爺さんと私は柱を挟んで反対側に身を沈めていたから顔は見えない。なんか唄っている。なんだかわからない。腰が曲がってしまって洗い辛そうだけれど、鼻歌を歌っている。気分が良いのかもしれない。露天風呂からの景色は物の本に書いてあるほどよかぁない。ただの田舎の里山だ。だけれど、それが良い。
 内湯の小さい方の湯船には「源泉のまま掛け流し」と書いてあって、「だから温度が低い」としてある。何人もの人が足先を湯船につけてそのまま入らない。私も足先を入れてみたら、冷たいのだ。一度はいやいや、やめたやめたと撤退して大きな湯船に入っていたのだけれど、どうせならと立ち入ってみて、徐々に身を沈め、とうとう首まで浸かってみたら、なぁに大して冷たくはない。むしろ気持ちよいくらいだ。さっきのお爺さんが最後に入っていたのはこの気持ち良さだったのかと理解した。でて来て、つれあいにこの話をしたら、彼女も同じ様な轍を踏んで首まで浸かってきたんだそうだ。
 売店で韃靼蕎麦を売っていたので買ったのだけれど、なんと200gで600円もした。身体に良いんだ、と繰り返して納得させる。
 長和町にも町内循環バスが走っていてここにも昼の間一時間に一本くらいはやってくる。隣にふれあい食堂があって、出てくると街道の除草作業をやっている軽トラックの集団が飯を食いにきていた。同じ軽トラが5-6台並んでいるとこれはこれでなかなか壮観だ。
 私たちは昼飯を最初から決めていて、昔友人に連れてきてもらった立岩和紙の里で蕎麦を喰おうということなんだけれど、ナビゲーターでこの名前を入れても出てこない。「ふれあいの湯」のフロントの方にお伺いすると、やっぱりそこも同じ開発公社の経営なんだそうで、電話番号で入れたらわかると思うけれど、ひょっとすると「ふるさとセンター」で出るかも知らないという。番号を入れてみたらそのままの名前で出てきた。
 ここは和紙の手梳き体験やらそば打ちの手打ち体験ができる施設としてあるのだけれど、もっぱら蕎麦がうまい。紙すきが地場産業だったというくらいだから水が良いのかもしれない。駐車場に停まっている車を見るとほとんど全部が県外ナンバーで、皆さん良くご存知なんである。とても人懐っこい感じの男性が注文を取ってくれていたのだけれど、気がつくと彼の指にはそば粉がこびりついている。
 ここにも韃靼蕎麦がある。ちょっと黄色い。そば湯も別々で混ぜると味が変わると持ってきてくれたかの男性が説明してくれた。私は普通の天ざる。腰があるというか、ちょっと強い麺で、たぐるだけじゃなくて、一寸噛みたい気持ちになる蕎麦。でもそれが味を引き立ててくれる蕎麦。通じるだろうか。カプシカム、大葉、カボチャ、茄子そして海老の天ぷらだけれど、この海老がやけに甘く感じるのはどうしてだろう。天つゆとの絡みか、あるいは蕎麦との絡みか。
 農ん帰村の前を通り過ぎて、ホットパーク・浅科に直行した。五郎兵衛米を買って行こうという。新米まであと少しだからたくさん買わずに2kgだけと思ったらみんながそう思うらしくて、5kgの袋しか残っていなかった。この界隈では五郎兵衛米はブランドだから、食べたいとかねて狙っていた。うちの米もそろそろ底をつきそうで、ようやくタイミングが来た。さすがに今日は土曜日で、駐車場にずらりと車が並んでいる。いつもはガラガラで商品もリフレッシュされない様な気がするんだけれど、これだけ人が入っていると、活気がある。不思議なものだ。
 帰ってくる間に浅科のつるやで朝飯用の食料を調達。コーヒーのドリッパーを入手。89円の炭酸水1リットル瓶を入手。今年になってあちこちで炭酸水を手に入れることができる環境になって本当に嬉しい。今までの苦労はなんだったのかと驚く。炭酸水といえば入れて残ったコーヒーを炭酸水で割って呑んだりしていたら、まんま丸山珈琲のメニューにあるのでこれまた驚いた。とうとうやってきた炭酸水ブーム、万歳である。梨と葡萄まで入手。つるやはどこで入っても商品充実。この辺の人が都会の小規模な、コンビニに毛の生えた様なスーパーで驚く気持ちがわかる。スーパー・マーケットという名前にふさわしいのはこれくらいの規模じゃないとね。それでも中軽井沢のつるやには寄らない。だって超混みだもの。
 佐久平カインズホームでマグカップを入手。400ccが400円。この値段で蓋までついている。
 中軽井沢駅の図書館でネットにつなげてみると友達から小布施に行かないかというメールが5時間前に入っているのを発見。電話に入れても出ないと。そりゃそうだ、おいてきちゃったもの、携帯は。
 さすがの土曜日で、駅前のタクシー乗り場には6-7人の人が並んでこないタクシーを待っている。こない訳で、ちょっと国道に近づくとビッチリ渋滞している。
 出かけるのもおっくうだからと友達と4人で近所の中華屋で夕飯にする。近所の超高級ホテルが経営するアーケードで、その中に入っているテナントなんだけれど、量が少なめで私たち爺婆にはちょうど良い。味付けがとっても複雑で美味しい。たくさんの人が来て大にぎわいの場所。
 この超高級ホテルに滞在するお客がそのホテルの甚平みたいな作務衣みたいな部屋着のまんま「さぁ、どうだ!俺はこんな高いホテルに泊まってんだぞ!」といわんばかりに出てきて飯を食う。集団でいるとなんだか病院の食堂を見るようだ。たくさんお金を落として行ってね。
 今夜もまた午後8時には寝てしまう。