今治市が作成した国家戦略特区WG出席の報告書
改ざん疑惑が見つかったのは、今治市の職員が2015年6月5日に国家戦略特区のワーキンググループ(WG)委員によるヒアリングを受けるため、内閣府へ出張した内容を記した「復命書」。市の職員服務規程(出張)によると、〈出張者が帰庁した場合は、速やかに復命書を提出〉とあり、同8日付で菅良二市長あてに出張内容を報告する「復命書」が作成された。
2016年秋に今治市民が、この「復命書」を情報公開請求し、一部が開示されたのだが、昨年の通常国会で加計問題に注目が集まると、市は一転して「復命書」を含む関係文書を黒塗りして非開示扱いにした。
本紙は一部開示された当時の「復命書」と、その後、黒塗りで非開示扱いとなった「復命書」を入手。2つの文書を比べたところ、明らかに不自然な点が見つかったのだ。
まず、一目で分かるのは、副市長や部長、課長などの印鑑が押された「供覧」の部分だ。2つの文書には印鑑の名前こそ同じだが、押されている場所や印影、数は全く違っていた。そして、出席人数も一部開示された方が少なく、肝心の「議事要旨」についても明らかに一部開示の方が黒塗りよりも記載内容が短かったのだ。
市の公用文に関する規程には〈「復命書」等〉とあり、復命書は紛れもなく公文書だ。どちらも情報公開請求を受けて開示しているから「途中経過」や「決裁前」の文書はあり得ない。なぜ、一部公開と黒塗りで異なる2つの「復命書」が存在するのか。起案した市企画課に質問書を送ったが、「担当者がいない」などとノラリクラリで、締め切り時間までに回答は得られなかった。
ちなみに加計問題の国会審議を振り返ると、この時のWGのヒアリングには愛媛県や今治市の職員のほかに加計学園の関係者3人も参加していたことが判明しているが、WGの議事要旨には加計学園の記載がなく、野党が「加計ありきを隠したのではないか」と追及する要因にもなった。
「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の武田宙大氏がこう言う。
「役所が情報開示した公文書が2種類ある時点でアウトでしょう。おそらく、一部開示の方は意図的に何かを隠したのではないか。そうとしか考えられません。現在、弁護士と有印公文書変造の罪などで市担当者に対する告発状を提出できないかを検討しています」
安倍案件の公文書改ざんは当たり前――なんて事態になれば、もはや法治国家じゃない。こんな悪辣政権は一刻も早く総辞職に追い込むべきだ。(日刊ゲンダイ2018年3月9日)
この分では今治市役所から次の犠牲者が出かねない。