ほぼ足りてまだ欲 その先

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物証

 和歌山カレー事件・林真須美死刑囚の長男が書いたといわれている。2019年8月刊行。
事件から23年が経った。もうあの事件に関心を持っている人はほとんどいない。林真須美はすでに死刑囚となってから、16年が経つ。地裁で死刑判決を受け、高裁は棄却した。しかし、物証は上がっていない。カレー鍋に入れられていたヒ素と、林健治・真須美一家にあったヒ素が同一のものか、そうでないかが決め手になっていて、死刑確定後にその道の第一人者が行った鑑定では、異なるものとされているが、裁判所は再審請求に応じていない。

「ぼくは父と違って、母の無実をことさら声高に主張しようとは思っていない。母が100パーセント無実だという確証はないからだ。そして、模試母がカレーにヒ素を入れたのならば、死刑に処されるのは当然だと思っている。
 しかし同時に、母がやったという確証もない。もし母がやっていないのであれば、このまま見殺しにするわけにはいかない。(P.202)