今年の2月に義理の兄が大腸癌で他界した。
姉は将来、墓をどうしようかと昔からいっていたので、うちの墓に入ればいいといっていた。
その時には墓石も削り直そう、といっていた。
そんなに早く来るとは思っていなかったが、実際にそういうことになってしまったので、ちょっと焦った。
石になんと彫ろうか随分悩んだ。
みんな音楽も好きだったし、その先も楽にやっていけますようにという考えで、「楽」という一文字にした。
それもよくあるフォントや、誰かの毛筆字じゃなくて、明るいものにしたいねと、いろいろレタリング図鑑や街の看板文字なんかをためつすがめつした。
全てが完成して、今日、その義兄の骨壷を納めた。
気がついたんだけれど、彼の骨壷は両親の骨壷に比べると二回りほど大きい。
これでは、次に入る人からはそれぞれ壺から出して布袋にでもしなくてはならない。
なにしろ暑い一日だったから、帰ってきてシャワーを浴びると、ぐったりしてしまった。
これで、ようやく一区切りがついた。
また今日も遅くまで救急車が走り回っている。
救急の人たちも、病院の医療スタッフも、本当に大丈夫だろうか。
昼過ぎに電車の優先席ボックスに座っていた。
途中から目の周りを茶色に塗って、初音ミクみたいな髪の、高校生と思しき女性がなんの躊躇いもなく向かいに座った。
なんでわざわざここに座るんだろう。
他の席も空いていたのに。