ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

何冊出ているのだろう・・

 山田風太郎の日記は一体何冊あるんだろうか。 「戦中派動乱日記―昭和24年・昭和25年」小学館は昨年刊行。 「戦中派闇市日記―昭和22年・昭和23年」小学館が2003年。「新装版 戦中派不戦日記」講談社文庫は2002年。「戦中派焼け跡日記―昭和21年」これまた小学館で2002年。「戦中派天才老人・山田風太郎ちくま文庫は日記なんだろうか?「戦中派虫けら日記―滅失への青春」ちくま文庫が1998年。
 「戦中派不戦日記」の2002年に刊行された講談社文庫版を購入。昭和20年の日記である。1985年に刊行された文庫本を版を新しく文字を大きく組み直したと書いてある。つまり、この種の本は若い人は読まないということになるか。それでも697頁ある。山田風太郎は2001年7月に79歳で逝去。
 この本のまえがきに山田風太郎が面白いことを書いている。

戦記や外交記録などに比べれば、一般民衆側の記録は、あるようで意外に少ない。(中略)記録者自身の言動、そのなまの耳目に触れた周囲の雰囲気を活写したものが希である。敗戦後十年ばかりこの現象を、私は記録者がアメリカに対して憚っているものと思っていた。ところが、その後に至っても次々に出てきた記録は、数字的には正確になった一面はあるものの、他方、意識的無意識的にかえって嘘や法螺や口ぬぐいや回想にはのがれ難い変質の傾向が甚だしくなったように感じられる。むしろ終戦直後のものの方が、腹を立てて書いているだけにかえって真実の息吹きを伝えているものが多いことを再発見した。