JFE系のユニバーサル造船とIHIの造船部門が統合する方向にあるらしい。ユニバーサル造船は日立造船の造船部門と旧NKKの造船部門が統合されてできた造船会社であるが日立造船はこの合弁会社から足を抜こうとしている。いずれにしろこのアイディアはかつての大手造船企業六社のうちの三社が統合されるということを意味する。当時その他の三社といえば三菱重工、三井造船、川崎重工だった。現在日本の造船企業の建造能力トップ企業は今治造船だけれども、この会社も当時の中堅瀬戸内造船企業である幸陽ドック、檜垣産業、笠戸ドック等を統合したものである。ユニバーサル+IHIとなると多分建造能力としたら日本で最大の造船企業になるのかもしれない。しかし、これから先は中国の造船企業がどんどんその能力を伸ばしてくるのではないだろうか。そうなったら労働集約産業といわれた造船業はとても中国には価格の面で太刀打ちが出来ないのではないだろうか。これまでも様々なタイミングで日本の造船業は岐路に立たされてきた。その度に合理化をし、機械化に拍車をかけ、業界を上げての合理化に腐心してきた。しかし、この統合は勝ち残りに繋がるのか、はたまたババを手にしようとしているのだろうか。まだまだ日本の造船業は馬の目を抜く船舶業界からの支持を得られるのだろうか。
ところで造船部門は完全に手放した時の日立造船は社名をどうするのだろうか。JFEはあれだけ造船部門をお荷物視していた旧NKK系の経営体質をもう払拭してしまったのでこういう方向性になったのだろうか。20年前、「うちの会社はまだそんなことをしていたのか」といった総務部門の副社長の話を噂で聞いたことがある。
