ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

温泉バスツアー

 恒例の正月温泉バスツアーに行く。昨年は(一昨年の)年末に湯田中温泉に行った。それと同じでとことん経費を削減したツアーで、私たちを乗せたバスは旅館に着くなり、それまで泊まっていたお客を乗っけて東京にとんぼ返り。挙げ句の果てに私たちが帰るときにはバスには添乗員も乗っていなくて、運転手がひとりで迎え来るという方式で、そうでなきゃもうこの業界もやっていけないということか。正月明けは温泉宿もがくっと客が落ちるようだ。しかし、この方式で添乗員の仕事がなくなるわけだ。バスのガイドさんという役割の人はもうここの所見ることもなくなった。ちょっと前まではこうしたバスツアーでもバス会社からはドライバー+バスガイドが来て、旅行会社からは添乗員がついてきた。そして宿には添乗員が一緒にいて、何かがあるとホテルとの仲介をとってくれていたものだ。それがこの程度のツアーになるとこうしないとこの価格では売れないということか。
 お客の平均年齢は多分65歳くらいじゃないだろうか。今回のこのバスには非常に例外的に母親と三人の子どもという珍しいグループがいて、異彩を放っていた。

諏訪大社

 例の7年目毎に開かれる御柱祭で有名な諏訪大社の話は、かつての職場の同僚にこの地域の出身者がいて酒を呑むとすぐにその御柱の話をしていたから充分に聴いたような気がするのだけれど、一度も来たことがない。昨年白馬に遊びに行くときにこの湖畔で昼飯を食べたことがあるくらいだ。
 地域のコミュニティバスが何本も走っているのだけれど、2時間に1本来るくらいだからいつでも時刻表と首っ引き。さすがに日赤病院で乗り降りする人が多い。
 13時過ぎにホテルに入って、まるでビジネスホテルの一室のような部屋に荷を解いてすぐに出かける。諏訪市には「スワンバス」と「カリンちゃんバス」が走っている。岡谷市には「シルキーバス」というのがあるそうで、下諏訪には「アザミ号」というバスが走っている。どれもこれもJRバスや諏訪バスに運営委託をしているコミュニティーバスで大人は150円、こどもは80円、一日券300円。これがなかった時は赤字のバス路線があったのだろうか。
 諏訪市の市の木となっている「カリン」の名前になっているバスは「茶臼山・四賀線」「すわっこランド・上社有賀線」と「市内循環」の内回りと外回りの四路線が走っている。
 ホテルのすぐ傍に「片倉館」があって、この前の停留場からカリンちゃんバス・市内循環に乗って上社をめざす。市内循環バスというくらいで本当にこまめに市内を縫うようにして走る。だから、農家の軒先をかすめるようで、とても面白い。
 上社の停留所でバスを降り、ドライバーに教えてもらったように神宮寺の交差点を右に曲がって博物館の前を左に曲がると、大きな鳥居の前の参道にはテキ屋の出店がずらっと並んでいる。なんだかお祭りのようだけれど、初詣の人出がそれだけ多いということだろう。境内に入ると大きなたき火を盛大に焚いている。いや、これは暖かい。四本の御柱に囲まれた地域が聖域なんだそうで、手前の二本を見た。皆さん信心深い方たちで真剣に祈っておられる様子がよく見られていた。
 さて、帰りだけれど、逆方向行きの「カリンちゃんバス」までには小一時間あったので諏訪市立博物館に入ってみる。「正月特別公開県宝・諏訪社遊楽図屏風と御枕屏風展」という展示をしているらしいけれど、けちくさい私は310円をけちって表の子ども向け解説展示を見ていた。実はこれが興味深かったのだった。一生懸命学芸員の方が子どもにもわかる展示を創っておられる様子が窺えたけれど、どれほどの人がこの展示を見たのだろうか。諏訪大社には五重塔が建っていたらしい。

片倉館

 バスで片倉館前に戻ってくる。片倉といったら絹紡績で一大財産を築いた片倉財閥で、昨年は片倉財閥が寄付した鶴峰つつじ公園を見学に行った時に、この地域での片倉財閥の力を見せつけられた記憶がある。京橋に「片倉キャロン」の看板がついた古い本社ビルを持つ片倉工業のことである。その片倉財閥の2代目社長、片倉兼太郎が思い立って建てた「文化福祉施設」がこの「片倉館」なんだそうだ。
 目当てはもちろん千人風呂といっている温泉である。建物そのものが1928年あたりの竣工らしく、外壁には私が好きなスクラッチ・タイルが使われていてちょうど良い年代だけれども、中に入ってみると、結構中途半端に手が入っていてがっかりするところもある。入場料は大人が500円。下足ロッカーは100円だけれどもあとで戻ってくる。脱衣所にあるロッカーは50円で戻ってこない。千人はとても入れないけれど、浴槽の深さがあって、立って詰め込んだらそれこそ百人は入るかも知れないが、そんな状況は想像したくない。浴槽の下には那智グロのような砂利が敷き詰めてあって、これはなかなか良い雰囲気。古い施設だから洗い場も少ない。どうも風呂の中のマナーが無茶苦茶で、こうしたことが大嫌いな私にとってはなかなか落ち着かない。それでもお湯は充分に堪能した。

ホテルの風呂

 ここのホテルには風呂が二つある。ひとつはてっぺんにある展望風呂でこの景色は大したものだ。特に今日は月が見えてなかなかなものである。どうやら温泉は二つの源泉から引いて混合して循環している様だけれど、溢れていることから見ると閉鎖的な循環ではなさそうだ。最近流行の黒基調の暗い採光の風呂で落ち着くといえば落ち着く。
 もうひとつは裏の別館に創られているそうで、全く景色のない露天風呂があるがそれ以外のラドン温浴室、貸し切り湯なんてのは宿泊客であっても有料だというので全く利用しなかった。別館には全く異なるコンセプトのサービスを行っているらしい。こっちの採算はいったいどうなんだろう。露天風呂には洗い場は殆どなく、貴重品ロッカーすらなく、なんだかよそのうちにお邪魔している感じだ。
 夕飯は宴会場での食事で、膝が痛くなってしまうこちらとしては二日間とも、のんびり楽しめなかった。良くこれだけの高齢なるツアーの皆さんが堪えておられることかと感心するのだけれど、ひょっとすると私たちの年代が一番正座に弱いのかも知れない。
 食後にちょっとうたた寝してしまい、目が覚めてから寝る前のひとっ風呂に行く。