ほぼ足りてまだ欲 その先

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物事を有耶無耶にする温情主義

 消費税を2011年に何が何でも上げるということに麻生自民党は踏み切ったわけだけれど、その理由と税収の使途をどう説明するのか、はたまたしないのか。
 こんな事を書くと「何が何でも消費税を上げるだなんて誰も一言も異っていないじゃないか」という指摘を受けるだろう。
 では、新聞記事を検証してみよう。

自民党の財務金融部会と政調審議会は(2009年1月)22日午前、政府が提示した2009年度税制改正関連法案の消費税に関する付則案を了承した。
 政府は、23日に自民党の党内手続きが終了した後、臨時閣議で同法案を決定する方針だ。
 自民党内では増税時期の明示に根強い反対論があったが、付則案は「2011年度までに必要な法制上の措置を講じる」と明記する一方、増税時期は改めて法律で定める「2段階」方式と読み取れる文言を盛り込んだことで、反対派も容認した。
      (中略)
「消費税を含む税制の抜本改革を行うため、(20)11年度までに必要な法制上の措置を講じる」
      (中略)
税制抜本改革の前提として「経済状況の好転」を掲げ、景気が回復基調に入らない限り、消費税増税は行わない方針を明確にする一方、景気が回復すれば、「遅滞なく(抜本改革を行う)」とも明記。(2009年1月22日12時21分 読売新聞)

 まだ2011年に消費税を上げると決まったわけではなくて、その前に今私たちが陥っているこの経済的苦境から脱却するだなんて考えられない状況なんだから、そんな時期の増税なんてあり得ないと読みたい。
 しかし、なにをもって「景気が回復基調に入る」とするのかなんて定義付けをここで誰かが明記しているのかといったら全く論議されてなんていない。必要な法制措置をやっておいてそのまま店ざらしになるという保証はどこにもない。
 麻生太郎がなにゆえにこの消費税増税をあいつらしくもなくそれこそ頑迷なまでに主張しているのだろうか。自民党にとってこれを明記して選挙戦に有利になるとはとても思えない。むしろ不利であるだろう。むしろこんな状況下なんだから、本当に景気が回復期に突入したと思われるときになって持ち出せばよいのではないだろうかと思うのになんでなんだろうか。
 ましてやその時、麻生は確実に自民党総裁でもないだろうし、日本国総理大臣でもあるわけがない。だから余計になんで今頃自民党という政党がまるでひとり相撲のような「2011年消費税増税」で揉めているのかが明確ではなく、だからこそ国民の関心を呼んでいないのではないだろうか。
 そしてまさにその消費税増税が実施されるとき、誰がどう責任を取る必要があるかとなったときに、こういうごてごて無茶苦茶論議にしておけば何が何だかわからない状態になっているだろうという読みがある。
 私たちの社会の超エリートである霞ヶ関の皆さんはかつての帝国陸軍の高級軍人たちのようにこうして責任の所在を有耶無耶にして(重光葵巣鴨日記})、結果的には天下っては渡り歩いてお稼ぎになる。
 何故なのかも、その後の趣旨も、ましてやその時期すら明確でない消費税の増税は全く説得力がない。しかし、このまま行けばどんな具合にでも料理して増税を実現することができると自民党は思っているんだろう。