ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

散歩

 どうせ散歩するなら、全く行ったことのないところを歩いてみたいと思うようになった。何も今日出掛けなくても良いじゃないかというのがいつもの思考回路なんだけれど、今日は取り敢えず家を出ようというきっかけがあったので、ほいほいと出た。目的地は東急世田谷線三軒茶屋から下高井戸までの間に8駅。全長5.0kmでしかない。これまでに一度も乗ったことがない。だから行ってみようと。
 何しろこれまでに三軒茶屋そのものに一度しか来たことがない。それも夜だった。何が何だか分からない。田園都市線の駅から世田谷線の駅までどこの駅か分からないような綺麗な地下道ができていて、案内に従って上がるとそのまま駅にはいって行ってしまう。
 切符の自販機がない。どうするのかと思ったらこの電車は全線140円。都電荒川線が全線160円と同じだ。途中の駅にはこちらも駅員がいない。二両編成で、両端が入り口で真ん中の二つが出口専用。よく見ると扉にちゃんと出口と書いてある。
 ということは都電もそうだけれど途中駅でフォームに下りて電車を撮影しようとするといちいち140円を払わなくてはならないということになる。電車の沿線を見ていると多分夏に通りかかったらツタが絡まる家がいくつも見えるのだろう。今は葉が全部落ちていて寂しい。桜はどうだろうかと見ているけれど、ちら、ほら、と咲いている程度でしかない。「山下」という駅で降りる。ここは小田急線の豪徳寺と交差している。駅前は小田急の高架になっていて昔日の感が全くない。ここには大きな桜の木があったように記憶しているのだけれど、どうも見あたらない。商店街はどうなったのかと思ったら小田急で分断されているけれど、まだある。ちょっと横に入ってみると昔のまま残っている横町がある。
 入っていくと昔ながらの中華そば屋がある。ずいぶん昔に秋葉原駅近くの中央通りに残っていた焼売とかた焼きそばが売り物だった中華そば屋に似ている。入ってみると昔のままのようだ。「中華満来」としてあって、帰ってウェブで検索すると出るわ、出るわ。壁に貼ってある雑誌の記事を見るとここのご主人はもうすでに98歳とかで、ボウリングが趣味でこの界隈ではよく知られた方のようだ。壁に貼ってあるビラには「ご希望の方にはボウリング1ゲーム招待券を差し上げます」と書いてある。
 その記事を読んで「えっ!?」と驚いて壁に貼ってあるメニューを見ると本当にラーメン並み200円と書いてある。その時点で私はすでに野菜そば500円を注文済みだ。入り口のテーブルに座って餃子をつつきながらビールを呑んでいた若者が「ラーメン下さい!」と注文。あとから入ってきたおじさんも「ラーメン!」だ。
 実は入って座ろうとしたら横のテーブルにいたおばあさんが野太い声で喋る。あ、独り言を大きな声で喋る人なのかなぁと思ったら、ここのおかみさんと知り合いの近所の人のようで、四方山話。これから風呂に行くんだという。多分一人住まいのようだ。
 野菜そばを作って運んでくれたのが多分、白寿に迫ろうというご主人の息子さんだろうか。多分私よりも年上じゃなかろうか。野菜そばはあんかけで、焼きそばの具がつゆ麺の中に入ったようなあんばい。細い麺でがんがん食べないと伸びちゃいそうだけれど、私が好きなタイプ。次回はあのラーメンを食べたい気もするけれど、かた焼きそばも試してみたいなぁ。
 そこからひと駅歩く。わずか800mほど。ずっと電車線路の横を歩くから後から後から電車が通り過ぎるのを見ることができる。「ちい散歩」じゃないけれど、これは面白いひと駅だ。桜が満開となるだろうと思われる来週あたりに歩くと、随分良い気持ちじゃないだろうか。お試しあれ。
 岩本町からもひと駅歩いたので、今日は全部で4kmを歩いたことになる。