ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

この場合のクリエイティビティ

 これまでの体制を批判するのはもうよろしい。今必要なのはこれからどうするかという提言であるという意見は実に良くわかる。今この時点で必要なのは、これから先、この国を動かしていく原動力となる電力を何から生み出すのか、ということもその必要な項目のひとつだからである。
 ところが問題は未だそこまで行き着いていない。何いっちゃってんの、といわれるかも知れないけれど、今現在この時点でわが国の54基ある原子力発電炉のうち動いている22基は福島原発どこ吹く風、とばかりに動き続けている。止めて、その立地条件を断層の存在、地震に対する備え、非常用電源設備に対する考えの基礎的コンセプトの点検、というものを実施して、それをそれぞれの電力会社に発表せしめ、それを公表することによって、基礎的電力供給体制を考え直すというプロセスを踏むことがまず必要ではないか。
 今の政府が霞ヶ関を含めて電力会社に対してそれを指示しているのかといったら、とてもそのように見られないことは、一瞬たりとも止めるという姿勢を取っていないことで、既に明らかだろう。
 このエネルギー政策で最も今求められているのは、これ以上の犠牲をこの国から出さないという姿勢なんである。方針なんである。
 ソフトバンク孫正義氏の如く新エネルギー財団を構築することも必要だけれど、実はこの分野についてはこれまで経済産業省の所管の法人としてNEDOというものが存在していたはずだ。今は独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構となっているが、かつては国の機関だった。ここから補助金を出して、オイル・シェルだ、オイル・サンドだ、風力だ、波力だ、潮位差だ、と様々なエネルギー開発をやってきたけれど、一旦原油価格が下がってからというもの力が入ってなかった、というよりも原子力発電に注力する既得権益システムが完成されてきた。だから、骨抜きになってきたといっても良いかも知れない。なにしろ原発開発についてはあれだけの電力企業の後押し、原発建設御三家の力があって成り立っているのだから、そんなものが開発されたんではとんでもないことになる。
 こうした既存態勢のシステムを解体させることなく、「原因追及はもう良いから、クリエイティブな提言をするべきなのだ」と主張するのは、下手をするとこれら原発権益死守勢力の軍門に下ることになりかねない。
 今回の原発事故の原因は、この国の状況に合致しないシステムを導入し、危険を示唆する助言をすべて抹殺してここまで連れてきたこのシステムにぶら下がる各機関なのだ。これをここで明確にし、とにかくこの危険なシステムを止めるということが最低限必要だということを国民全体で確認することが必要だと思っている。
 今日の衆議院予算委員会の質疑、夕方6時からの東電・経産省合同会見での質疑を聴いていてもとても、そこに到達しているとは言い難い。海江田の発言にしても班目委員長にしても、菅直人にしても、細野にしても、損害補償を含めて、未だに誰も腹を括って次のステップに進もうとしていない。
 この時点で私達が考え、私達が行動することはなにか。避難所での着替えようのテントの2張りや3張りを寄付したくらいじゃなんの役にも立てやしないだろうけれど、それでも提供できるものを被災地に提供していくことしかない。しかし、その一方で、このシステムをこのままにしていくのは間違っている。