ほぼ足りてまだ欲 その先

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犯人

 日本という国をここまでおとしめてしまった原因のひとつには明らかに労働者派遣法の改悪がある。それまで派遣労働者といったらとても限られていて、私が働いていた企業で初めて見掛けたのは30年以上前のことでその人はタイピストだった。時間雇いだった。見慣れない女性がいるなぁと思ったら緊張した顔つきで一心不乱にタイプを打っていた。今だったら考えられないけれど、当時は男性が自分でドラフト以外にタイプを打つことは極めて稀だった。
 何しろテレックスもそれ専用の部屋があって、そこにオペレーターの方が3-4名おられて原稿を持っていってお願いするのだった。
 その女性が仕事を完了して、雇った担当者に伝票に印を貰って帰るのだけれど、その日、その担当者は「あんたはさっき休憩とっていたでしょ?その分は払わないぞ」と声を荒げた。随分な云いっぷりで、上から目線も良いところだった。辛いなぁ、派遣労働者ってのは、と思った。しかし、当時はそうした特殊技能(今ではタイプを打つ、いやパソコンで原稿を書くなんてのは万年筆で字を書くのとなんも変わらないけれど)分野に派遣が認められていた。
 ところがほぼどんな分野でも派遣された労働者に労働させることが解放されてしまったばかりか、期間限定労働者契約がフリーになってしまった。法律上は一定期間以上継続して契約している場合は正社員として雇用しなくてはならないということになっていたが、企業は一度その契約を切り、再度契約することによってものの見事にこの規制をすっ飛ばす。製造工場の中のラインまるごとを委託運営してしまうという方法も上手いやり方だ。委託しているのであって臨時雇い労働者を直接契約しているわけじゃない。上手いねぇ。
 もうひとつは外国人の労働者の研修を受け入れ、その後その研修をした成果を使って実習して貰うという方法である。今やこれがなくしては日本の産業はほとんど成り立たない。いや、成り立たないと云うことはないのだけれど、こうしてしまったので、こういう労働環境から日本の産業は抜け出せなくなってしまったのである。
 その犯人はもちろん小泉純一郎竹中平蔵であり、それにぶら下がっている産業界である。「日本維新の会」には竹中平蔵がいるということをマスコミは報じているのだろうか。