ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

MET

 昨日は築地というか、東銀座の「東劇」にNew Yorkのメトロポリタン・オペラのドニゼッティ愛の妙薬」(L'elisir d'amore)を見に行った。この日で終わり。ひとりなんと3.500円もするのが驚きだった。METのこの手のプログラムは今や全世界64カ国で上映されているんだそうで、思いっきりお稼ぎ遊ばすのである。
 一体見物のお客さんがどれほど来られるのかわからなかったので前日にその様子見に切符を買いにいったんだけれど、あの時点では席は20位しきゃ埋まっていなかった。それなのに、「まだ早いなぁ」といいながら15分前に入ったら結構な人がいて驚いた。しかも常連らしき人たちが前と後ろの間の通路に座っている。なるほど、あそこなら前の席がなくて広々としているからなんだろうけれど、私だったらあそこには座らないね。あれじゃ、落ち着かないじゃないか。
 始まってから気がついたのはこれは時としてWOWOWが放送するMETのオペラ番組そのもので、いつものおばさんが出てきてみんなにインタビューする。
 intermissionではスクリーン上でも現場の動きを映し出していて、右上に休み時間の残り時間が表示されるのだけれど、この趣向は結構面白い。
 さすがにMETのキャストは皆さん優秀で素晴らしくて、けちの付け所がなくって舞台も大がかり。私のような、昨日今日初めてオペラを見始めた輩としてはこれでもう十分だ。
 これを見ちゃうと、死ぬまでに一度で良いからMETに出かけてこの目で見届けたいものだという気になる。METの思惑にまんまとはまる。
 この番組は中で「オペラは入場料では賄えません、会員になってね」という宣伝まで入っている。あそこでも入場料では賄えないんだねぇ。ウィーンやブダペストオペラ座だけじゃないんだね。大阪の某市長なんかが一枚加わったらすぐに廃止されちゃうんだろうか。
  テナーのアリア、"Una furtiva lacrima"が終わるやいなや斜め前に座っていたおばさん(お婆さん?)が画面に向かって拍手したのには驚いた。これじゃまるで昔の東映映画じゃないかと。
 しきりに宣伝ではこのオペラをただのドタバタ喜劇ではなしに、ロマンスとして描いたとプロデューサーはいうのだけれど、これはどちらかといったらあっけらかんとした喜劇だろう。なんだかオペレッタみたいなノリだったからこそ私みたいな門外漢でも楽しめるんじゃないのか。最後に主人公が死んじゃうなんて大悲劇よりはこんな方が楽しいじゃないか。
 それにしてもアディーナって女はいけ好かないなぁ。その上、村の女どもがネモリーノのおじさんが死んで莫大な遺産が入るとわかるやいなや、掌を返して奴をヨイショするのはもっといけ好かないね。
 Maestriはお上手だよねぇ。

Maurizio Benini マウリツィオ・ベニーニ指揮
アディーナ: Anna Netrebko アンナ・ネトレプコ
モリーノ: Matthew Polenzani マシュー・ポレンザーニ
ベルコーレ: Mariusz Kwiecien マリウシュ・クヴィエチェン
ドゥルカマーラ: Ambrogio Maestri アンブロージョ・マエストリ
Bartlett Sher バートレット・シェア演出

 Anna Netrebkoは2005年の頃から比べるとちょっと太ったのだろうか。そりゃもう7年も経っているんだから変わって当たり前か。
 やっぱり日本語のスーパーが入るってのは良いなぁ。二カ国語のスーパーが表示されるところはあるけれどMETでは4カ国語くらい表示されるらしいのだけれど、どうやってどこに表示するんだろうか。英語のスーパーが出てくれるというだけでも救いだけれどね。欧州だと英語すら表示されないところが普通だものねぇ。
 今度のテンペストはシルクドソレイユ仕立てらしいので面白いかも知れないな。

 これを聴いたら他の人のは聞く気にならない。METの画像の中のインタビューで「二度唄うかも?」と聞いているのはこの件を指しているに違いない。