突然帰りのバスの中で若い女性の声が鳴り響いた。「何度言ってもリクライニングを起こしてくれないんです！」といっていた。この女性のシートの前は爺さんだった。この種のバスツアーでは「リクライニングを倒すのは後ろの人に迷惑になるから止めよう」というのが不文律になっている。しかし、初めてこの種のバスツアーに参加した人はそんなことは知らない。バスのシートの前後がゆったりしていればフルフラットにしたいくらいだろう。しかし、そんなことができるわけがない。この爺さんが初めてこのバスツアーに参加したのかどうかは知らないけれど。
しかし、この若い女性は良くその前の爺さんに声をかけたものだとえらいと思うほどだった。彼女はバスに乗り込むやいなやにもすぐ後ろの婆さんに「シートに触らないで下さい、がたがたするので。」とお願いしていた。あれこれあって堪忍袋の緒が切れたのだろうか。
確かに年寄りはバスに乗るとすぐに前の座席の背中に付いている取っ手を握りしめている。これが結構前の座席を振り回す。
若い女性の声が鳴り響き終わると、辺り一面おもぉ〜い雰囲気に満たされた。
