ほぼ足りてまだ欲 その先

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アメ横

 久しぶりにアメ横に行った。といっても1ヶ月振りくらいか。前よりは行くようになったのだけれど、それはコーヒーを買う為と、行きつけの鮨屋がなくなったので回転寿司に行く為だ。
 2000年頃のことだからもう10年以上前ということになるのだけれど、私は大学に戻った。で、ついた先生が実に面白い先生で、あの先生からは人間の価値観は人付き合いで構築されてはならなくて、価値観によって人付き合いができるといっても良いくらいの人生観を学んだ。人は究極はひとりなのであって、自らの判断を信じろと教わったような気がする。「気がする」というのは、「こうだぞ!」というわけではなくて、自らの価値観を語り続けることによって、汲み取れといっていて、ことばで指し示すわけではないからだ。彼は自らのゼミを放牧ゼミといっていた。汲み取れないものはしょうがない。そしてあの先生の頭の襞にはとことん深い知識が折りたたまれているようで、時々思いもよらない深いところがのぞけるのだけれど、どこがそこなのか、計り知れない。
 その先生がある日、「上野に呑みに行こう」という。私はそれまで25年ほど浅草に住んでいたのに、上野で呑むということがなかった。すると、その先生がドーナツ屋に入ってドーナツを買う。そしてトイレを使う。何かと思うとただトイレを借りたのでは失礼じゃないかという。なんでかと思ったが、すぐ傍の「大統領」に入るからだった。それは昼からやっている呑み屋なんだけれど、トイレがないのだった。
 その大統領が、今やとんでもなく大きな呑み屋が傍にできていて、嘘のような発展振りなのだ。しかもその周りがめったやたらと同じような立ち飲みにオマケで座れるようになった店ばかりだ。こういうところを見ていると、なにが景気回復だよ。景気が回復するなら、みんなもっと洒落たところで呑むに決まってんじゃないか。
 こういう呑み屋は景気がよいときは、世をすねた奴がオダを上げるところなんだよ。あんまり大きくなっちゃうとこれはこれで困ったものなのだ。