ほぼ足りてまだ欲 その先

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子ども

 50代になってそうそうの頃、ほぼ同年齢と思しき某大学の先生お二人と会食をするチャンスがあった。その時に、「お宅はお子様はおいくつくらいですか?」と無神経に尋ねてしまった。すると、その方が「世の中には結婚をしていても子どもがいないという夫婦はざらにいるでしょう」と応えられた。思わずハッとした。
 子どもが欲しくても恵まれない人もいるし、子どもを作らない人生を送ろうと決心している人だっているはずだ。
 その時に、それまで自分がどれほど自分勝手な尺度で世の中を見ていたことに気がついた。そういわれてみれば、自分の周りには、なかなか結婚しない人だって普通にいたし、学校だって途中で辞めた人もいたし、ましてや自分だって定年まで勤め上げることなしに仕事を辞めたということだってあった。
 文化の異なる国、街で暮らした経験だって何度もあったわけで、そんな体験を元にすればそれくらいのことがわかっても当たり前だったのだけれど、気がつかなかった。
 この歳になってみると良くわかるのだけれど、同年齢の諸兄の家族には既に何人も孫がいて、その孫が既に成人に近いという人だっている。すると彼らは孫がいるのが当然のように思えてきているわけで、周りに結婚することができない、あるいはする気がない、子どもができない、あるいは創りたくても創れないという人たちがわんさか存在することに気がまわらない。
 当時の自分を思い出して、それは無理からぬことだということが、今になるとわかるのだけれど、そこに思いが至らない人なんて、珍しくも何ともない。
 かつて同じ職場で働いた人の娘が結婚したのだそうで、その写真をみんなに見せてくれているけれど、他の人の家庭がどうなんだろうか、と思いを至らせることもなさそうだ。私のように自分の家庭を平気でさらけて無神経さを露呈している輩もいるわけだけれど、そこに触れて欲しくない人だっているだろう。