ほぼ足りてまだ欲 その先

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エベレスト

 1996年5月10日のエベレストでの遭難事件に関わるジョン・クラカワの本を読んでいると言うことは前に書いた。あんまり体調が戻ってこない昨日から今日にかけて、その遭難の部分を読み進んでいた。彼が参加した営業遠征隊の参加費用は当時6.5万ドル。そりゃそのくらいしてもおかしくはない。シェルパの数、入山料、装備費を考えると頷ける。この日だけで8人が死亡。この年の春シーズンは全部で12人が死んだそうだ。
 この犠牲者の中に日本人、難波康子が含まれている。彼女はこのエヴェレスト登頂によって世界のいわゆる七峰を制覇した日本人女性としては田部井に次いで二人目となったのだそうだけれど、厳密にいうと帰還できなかったのだから、登頂したというべきかそうでないのか、はなはだ微妙なものがありそうだ。
 この時、福岡チョモランマ峰登山隊(日本人2人、シェルパ3人)がインド・チベット国境警察隊の遭難者を視認したにもかかわらず救助せず登頂を優先させたとして非難されたことがあるのだと知った。クラカワの記述によると、難波の死は日本でも大きく報道され、彼がカトマンズに帰ってくると多くの日本人レポーターに取り囲まれたのだと書いている。
 しかし、私にはまったくといって良いほど、この遭難事件が記憶にない。なんでだろうと考えてみると、この時期、私は日本に暮らしていなかったのだった。まったく耳に入ってはきていなかったのだろうと思う。日本人は非常に細かく世界の出来事を報道するような気がするが、これは他国においてもそうだというわけではない。
 今朝、日本の報道は英国人の探検家の死を告げている。

英国の探検家で南極大陸の単独無支援横断に挑戦していたヘンリー・ワースリー氏(55)が、ゴールまで約50キロの地点で力尽き、搬送先のチリの病院で24日、多臓器不全で死亡した。達成していれば世界初

 単独無支援というところがこの冒険行の重要な点なんだろうけれど、「スキーを履き、食料やテントを積んだそりを引いて約1500キロ」を歩くだなんて、信じられない挑戦だ。
 しかし、日本の報道はこんな探検家についてまで取り上げている。