ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

身だしなみ

 この言葉はもはや死語かも知れないですね。大体、どうしてこういう表現なんですかね?見出し?ってなんですかね。並ってこと?調べてみると「身嗜み」って辞書に出てきますね。つまり身体の嗜み、外見についての節度、とか心がけってことですかね?
 となると、もう身だしなみって言葉だけでもはや、既に、勝手気ままな格好しちゃいかんよ、ッつうことでございますな。こういう時にはこういう格好、こういう時にはこういう揃え方みたいな。
 ブラックタイで、といわれたら夜ならタキシードで、それは則帯の着いたズボンじゃなくてはならないし、裾はシングル、靴はエナメルのスリッポン、カマーバンドを使ってシャツは比翼仕立てになっていなくちゃなりません。
 それが昼だったら、これはもうモーニング・コートでございますな。ズボンはコールズボンってぇ奴ですよ。まさか、今時こんなものを誂えておられる方は余程の方でございましょうねぇ。ところが私はこれを持っております。どういうこと?実は以前暮らしていたところの隣が貸衣装屋さんでしてね、そのすぐ傍に、そうした商品を格安に売っているところがあったんです。つまり貸衣装崩れです。なんと一式3千円だった!つい、用もないのに買ったことがあります。これを普通に着ちゃったら面白そうです。その場合は身だしなみとしては間違っているということになります。
 私たちが子どもの頃、アイヴィーってのが流行りました。VANジャケットの石津謙介が流行らせて大儲けしたのに、経営をまちがって今じゃ、ほぼ聴いたことがない。あのメーカーのおかげで、私たちはトラディッショナルという服装を知りました。考えてみれば、ひとつひとつは昔からあったもので、それをアメリカンスタイルになっているものをそのままパクってきたわけです。それがなんだか格好良く見えたんですなぁ、単純に。
 ましてや私たちは戦後のアメリカ大憧れ世代でしたから、なんでもアメリカものには飛びつきましたから。そうでなかったのはビートルズ以降です。その前の英国のことなんて、屁でもなかった。何しろアメリカでした。それで、髪の形は勿論クルーカットと称する七三分けで、バイタリスで乱れ一本ないようにドライヤーでなでつけましたね。
 それがどうしたことか、ビートルズがマッシュルームカットなんてものを流行らせたものだから、それから先、髪の毛を分けたことがありませんでした。昔の女子のおかっぱに近かったといって良いでしょうか。あんな風に前髪を揃えていたのはカーナビーツのアイ高野くらいだったでしょうけれど。彼なんて早死にしちゃって、内田裕也みたいに老いさらばえたところを見せることがなくて良かったよねぇ。
 で、長ずるに及んで、働いていたというか、奉公していたといった方が良いような会社の某部署にいった時に、上司から呼ばれて、明日から髪の毛を七三にしなさいといわれたことがあります。つまり、これが身だしなみって奴だったんでしょうねぇ。その時はついでに「ブレザーで会社に来ないように」といわれちゃいました。上下揃いできなさいって分けです。そういわれてみると、あの業界で替え上着(こう呼んでいましたね、ちょっとカジュアルなんですね)のひとたちってそれほどいなかったですねぇ。私の同期で、若いうちに転職していった奴の中にはサドル・シューズで会社に来ている奴なんていましたけれどね。あいつも私に似て相当に軽かったなぁ。