ほぼ足りてまだ欲 その先

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十一代金原亭馬生独演会

 毎年恒例、この時期の上野鈴本演芸場。入り口で弟子が総出でお客さんのお迎えでございます。なぜか、馬久がネクタイを締めております。何ごとならん。
 開口一番は駒六で「不精床」。小駒に比べたら地味で目立ちませんが、彼は地道に前座の道をつとめておりますから、馬生門下らしい噺家に育ちそうな気が、多少でございますが、致して参りました。
 馬久が「近日息子」を得意なパターンで奴はひとつつかんだねぇ、という傍から、真打ちになったばかりの三木助が、襲名披露興行で数々の場を踏んだからなのか、昔に比べたら随分成長したような気がしてきた。新真打ちが「寿限無」をかけるってのはどうなんだよ、と思っていたら結構練り上げられた「寿限無」だった。ちょっと見直した気がしてきた。馬治が「つぼ算」を丁寧にやってくれた。彼は本当によくなったんだなぁと思うが、ここからもう一つ、彼の良さが伸びそうな気がする。馬生さんの一席目は「素人義太夫」でほとんど「寝床」だけれどこれでもって先代萩義太夫を本当に聴いてみたくなった。、仲入りのあと登場したのは馬玉で「初天神」。どうも彼の噺は「おきれい」だし、表情も良いんだけれど、器用貧乏で終わっちゃしないかと、それが心配だ。膝代わりがなんと「青空・球児好児」で、好児が芸能界ヅラ疑惑を次々に暴露するという暴挙に出て、大笑い。トリは馬生の二席目でたっぷりの「お直し」。馬生さんらしくて生々しくないところはホッとするけれど、私は実は廓話は好きじゃないんだなぁ。
 この会に集まるいつもの9人でちょいとした忘年会。ちょっと入った酒で、駅の階段を一気に上がるのが辛い。歳をとった。