ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

たまり場

 若い時にはしょっちゅう顔を出す呑み屋というものがあって、何かにつけてそこでオダをあげているという日々を送ったことがある。仕事がつまらなかったのかというと、決してそうではなくて、面白くてしょうがなかった頃のことだ。それが不思議なのだけれど、仕事にのめり込めばのめり込むほど、仕事帰りの9時、10時なんて時間に顔を出してしまう。当然家につく頃には午前様になっている。

 もっともそこに顔を出してくる連中はなんとなく、サラリーマンでいながら、サラリーマンぽくない仕事っぷりの連中だった。つまり、出版社の連中だったり、映画の関係者だったり、テレビ関係だったり、演劇関係だったり。つまり、われわれのような普通の企業のサラリーマンが一緒になって呑んでいる場合ではないのだ。

 学校の友人が自分の娘がかなり有名な大学を卒業するんだけれど、出版に行きたいといっているなんて聞いてしまって、出版の仕事をしている奴に口をきいて貰ったら、肝心のその娘ってのが出版社の実情をほとんど知らず、面接で上までいったのに、やっぱり大学院に進学するだなんていって、とんだ赤っ恥をかいた記憶もある。その後私が職場を大きく変えてしまって、そんな連中ともそれっきりになってしまった。

 今から振り返ると、不思議なことに、その店でしょっちゅう顔を合わせる連中の何人かは驚くほど才能を開花させていった。たまにしか顔を合わせなかった連中がそうはなっていない。

 それでもやっぱり、仕事には運がつきものなんだなぁとほとほと感じる。実力があっても、やっぱり人に恵まれ、運に恵まれるということが、その後の人生には、やっぱりかなりのファクターをしめるといって良いのではないだろうか。