ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

 私は熊に二度遭遇したことがある。ただし、目と目があったことはない。二度とも日本ではなくて、北米でのこと。一度はカリフォルニアのSequoia National Parkという国立公園の中でのことで、これはかなり危なかった。ガイドを先頭にして、日本人が多分10数人いたと思う。メインのルートを歩いていて、さぁ、これからちょっと脇へのルートを通って、林の中を歩きましょう、といって降りていったら、先頭を歩いている連中から逆に戻ってくる。なんだろう?と思ったら、全員が「熊だ!熊だ!」と強い口調のひそひそ声で言っている!焦った、焦った。後ろを見ずに急ぎ足でメインルートへ戻った。あとで聞いたら、家族連れで餌探しに夢中だったので、人間に気がついていなかったのが幸いだったという。多分こっちが風下だったのだろう。そうでなかったら彼らは逆に動いていったはずだ。この時は、この公園の中でもう一度ブラック・ベアを見かけた。

 今一度はカナダの話で、乗っていたバスが1号線のフリーウェイを走っていた時で、バスが急ブレーキをかけた。強く前の椅子の背中に押しつけられるくらいの急ブレーキだったが、一番前に座っていた米国人が大きな声を上げたと思ったら、ドゥンッ!と衝撃があった。バスはとろとろと動いたが、その時に黒いものが路肩に向かって動いていった。それがブラックベアだった。多分、あの熊は身体に怪我を負ったに違いない。それが致命傷になったかも知れない。それにしては、バスはなんにも気にしないで走り出した。そんなものなのか。驚いた。

 ゴールデンウィーク草津の山の奥でキャンプをしていた時期がある。毎年その頃に行くと寒い。下手をすると雪が降る。それで、三角小屋に泊まることにしていた。なんにもない。ただ屋根を葺いただけの小屋。だからトイレも別棟に有り、調理も別棟だ。そこへ環境庁の役人が環境調査にやってきた。彼がいうには、近くの道路の真ん中にツキノワグマの糞を発見したという。その上、明らかに熊が寝た草が踏みしだかれた跡があるし、横の木には熊の爪痕があるといって見せて貰った。それでも熊には遭遇はしなかった。今から考えてみたら、結構危ない場面だったらしい。知らないとはいえ、危機感がなさ過ぎだ。そこへいくと、スイスあたりは気が楽だよねぇ、熊がいないんだから。