ほぼ足りてまだ欲 その先

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The Foxfire Magazine

f:id:nsw2072:20200301132006j:plain:w240:left いつもFoxfireだったのか、Firefoxだったのか、混乱するんだけれど、こういう名前の本が未だに米国の出版業界の中で流通している。firefoxはブラウザの名前だから、こっちじゃないよな、と確認している。しかし、検索すると同名のアウトドアファッションメーカーが引っかかってくる。ところがこのメーカーのウェブサイトを見ると、なんと彼らはその名前の源を、この雑誌に発していると説明している。旨いこと捕まえちゃったって訳だ。
 The Foxfire Magazineはジョージア州北部、いわゆるアパラチアン山脈の田舎の学校の先生が、子どもたちと、地域の民族的文化を地域住民に直接インタビューをして季刊で出版したものが始まりだった。それがなんと1966年のことで、それが評判が評判を呼んで、次々に出版されてきた。この学校は実は地域の生涯学習学校にもなっていたという点が、発想しやすかったといえばいえるだろう。まさにいわゆるオーラル・ヒストリーそのもので、まぁ例えていえば子どもたちが協力して宮本常一になったといえば良いんだろうか。
 私はこの本の存在を友人が持っていたWhole Earth Catalogで知ったのかも知れない。当時、その種のアメリカ文化が日本にも紹介されてきた頃だ。1970年代の中頃のことだろうか。友人は確かオレンジ色をした表紙のThe Foxfire Magazineも持っていたと思う。
 今ではAtlantaの空港から見たら、北東に120マイル行った山中に「Foxfire Museum & Heritage Center」がある。ここは1974年に印税を使って購入したんだそうで、いかにもそれらしい建物がそれらしい山の中に立っていて、好ましい。
 あまた出版されている本なんだけれど、オーラル・ヒストリーの原則というのか、掲載の仕方に則っているので、喋った人の喋りをそのまま表現してある。日本語だったら「イヤねぇ、だからいわんこっちゃねぇんだが」と書かれても私たちにはどうにかわかる。しかし、英語ではこの辺がなかなかわれわれには難しい。rock'n rollじゃないけれど、どんどん省略するところは省略して喋るから、それをそのまま表記されちゃうと辞書にも載っていない言葉になってしまう。英語が母国語ではない人間にとってはなかなか理解しづらいものがある。それが味だといえば味だし、それがオーラル・ヒストリーの手法である。メモに書いてくれていたものをそのまま活字にしてあると、文章が怪しいし、単語の綴りは無茶苦茶だったりする。今だったら、これを手書きのまま掲載する、ということも考えるだろう。
 今ではThe Foxfire Bookは12巻まで出ていて、その他にも歌のCDも出ている。

FOXFIREこちら

追記:
f:id:nsw2072:20200301175244j:plain:w240:left うちの書棚にFOXFIRE 4が刺さっていました。これは1979年から1980年にかけて滞在していた街のデパートの本売り場から買ったのだと表2に貼ってあったプライスカードからわかる。今時だったら考えられないが、表紙の右の肩に5.95と値段が印刷されている。