今和次郎という人のことは今初めて知ったわけではないけれど、こんなに偏執狂的コレクターというか、恐怖の観察人というべき存在だったということは思いもよらなかった。
この本でまず面白いなと思ったのが、上野で寝転がっている職人たちのスケッチだった。それをtwitterでアップした人がいて、そうか、昔は上野では誰でも自由にゴロンと横になって居眠りすることが出来たんだなぁ、今じゃ、ベンチに仕切りをして、誰もゴロンと寝ることが出来ないのが当然になってしまったものなぁと、それが見たくて、図書館から借りだしてきた。
するとこの本には今和次郎の、呆れ果てるほどの観察を素晴らしいスケッチで仕留めている。1929年の銀座一帯飲食店分布なんてスケッチが出てきて笑う。天金の位置がこれで検証された。