ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

散歩

バスを谷中で降りて、藝大前を歩いて、東京都美術館裏を珍しく歩く。動物園の旧正門から覗くとパンダ舎に長い行列がある。

 藝大の陳列館がある門の内側に前々から気になる街灯が建っている。アールデコというのでもないような気もするし、かなり凝りに凝った装飾になっているんだけれど、いつ見てもガラスがきたなく汚れたままで気になってしょうがない。「美術館に入るのはOKだけれど、その他は学生以外入ることは許さないと書いてある。なんでなのかよくわからんが、COVID-19感染防止のためだとすると、学生や関係者が入るのは構わないというのは、ちょっと意味がわからない(サンドイッチマン風)。それで、「写真に撮りたいんだけれど入れてくれないか」と守衛さんにいってみたら「今は無理ですね」という返答だった。「あ、そう」と昭和天皇風に伝えて、結局また歩道から撮った。一体誰が作ったんだろう。
【追記】下記コメントを頂き、見事に解明されました!感謝です。

皇居二重橋の旧飾燈・橋欄の銘板
陳列館前に設置された皇居二重橋の旧飾燈・橋欄は、昭和37年(1962)の新宮殿造営に伴い、現在の二重橋・飾燈・橋欄(内藤春治名誉教授設計)に架け替えられた際に、宮内庁から移管されたもの。明示21年(1888)に竣工したドイツのハーコート社製。

やんごとないものだったのですね!135年になろうかというものでございますね。

 東京都美術館は今日は休館と札がでている。火曜日なのになんで休みなのかと思ったら、HPに「2023年1月11日~18日は整備休館」と書いてある。こんな休館があるとは初めて聞いたなり。去年も7月にあったそうだ。エゴン・シーレ展は4月9日までだそうだけれど、それまでにCOVID-19は収まるだろうか。このままではどうなるかわからないものなぁ。なにしろエゴン・シーレが50点も来ているんだそうだ。ということはウィーンのあの美術館はがらんと空っぽになっているんだろうか?この時期にウィーンへ行った人は大変に気の毒だなぁ。初めて見たときは随分ショックを受けたもんだったけれど、日本人は彼の絵が好きなのかなぁ。エゴン・シーレ自身はジェームス・ディーンにそっくりだと話題だったよね。エゴン・シーレのあとは84歳まで生きたというアンリ・マティスだそうです、8月まで。

 動物園のフロントを横切って花園稲荷横をくだり、池の畔を回る。マーキーを何張りも張って骨董市なるものが開かれていて、10軒ほどがでていたが、ほぼ、骨董というよりもガラクタ蚤の市といったほうが良い。欧州をめぐると各地で必ずこの手のものに遭遇して面白い。中でも不思議でしょうがないのが、古いはがきとか、古い誰のものかわからない写真を皆さんとてもご興味を持つ。全然知らない人たちの写真はいつの時代のどこかが分かればきっと面白いんだろうになぁ。睡蓮が枯れ果て、葦の枯れたものとの対比がとても面白い不忍池の縁を広小路に向かって歩いていく。

 中国語や私にはわからない東南アジアの言葉をしゃべる人たちが、永いレンズを付けたカメラを行けに向かって構えている。一体何があるんだろうと思って近づいていくと、カワセミだった。先日池之端側で見つけた、あのカワセミだろう。スマホを構えたおばさんが近づいていって、カワセミはちょっと遠くへ逃げた。そりゃそうだ。おばさん、それじゃ無理ですよ。

 大江戸線で勝どきまで出て、バスで銀座四丁目。そうだと思い立ってDNPの銀座ギャラリーへ行く。宇野亜喜良の「万華鏡」展が今月いっぱい。「話の特集」でよくAWUIRAXは見たものだ。絵に俳句(といえないかもしれない)が連なっていて、面白い。そういえば、坂崎幸之助も自分の写真の横になにか書いていたなぁ。「話の特集」の発行人だった矢崎泰久が昨年末に89歳で他界している。宇野亜喜良だって、矢崎泰久より一歳若いだけで今や米寿である。そりゃそうだよなぁ。50年以上前から彼の絵を目にしていたわけだから。「龍の落とし子に 餌落とす 澁澤龍彦忌」と書いてある。

 チャンスセンター横を西銀座デパートを横切って交通会館の三省堂。「本の雑誌2月号」を入手。巻頭の中野善夫の「積ん読絶賛論」を電車の中で読んで肩を震わせて笑いそうになるのを必死にこらえる。それにしても三省堂はどうしてこの雑誌を「文学」の棚に置くのかなぁ。友人が秋田美人のポスターはとっても良いというので、交通会館裏の秋田アンテナショップを巡ったが、お目にかかれず。外堀通りの沖縄アンテナショップが移転したあとを見ながら、ほとんど人が通らない八重洲二丁目の裏通りを東京スクウェア・ガーデンに出て、ほぼ初めてここの地下に降りて知らない雰囲気に驚きながら、エスカレーターで二階のトイレに向かう。このトイレはなかなか見つかりにくいところにある。

 もう昼メシを終わったレストラン・サカキの横を通る。エビフライをいつか堂々とマスク無しで入れる時が来たら食べようとずっと思っている。紺色のクラウンが停まると、中から歩くのもつらそうなコットンパンツにスニーカーのお爺さんが降りてきてよいしょ、よいしょと歩く。後ろをゆっくりとついて歩くことになる。都営地下鉄のエレベーターでホームに降りる。珍しく家なき子らしき人が端のベンチにいる。優先席に座ると、ほぼお婆さんが座る中、えらそうに足を組む若い女の隣に座る。降りた駅のエレベーターが閉まりかけた時に若い女性が見えたので、開けてあげたが、その女性は何もいわずに乗ってきた。そして何もいわずに降りていった。そこからのバスは出たばかりだった。空が嘘のように晴れていた。すると冷たい風が吹き抜けた。また今日もカレーうどんにしたのだけれど、自分でわざわざ好きな味のカレーを作っておくべきかもしれないなぁ。約8,600歩。