ほぼ足りてまだ欲 その先

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吉村昭

 先日は吉村昭の「昭和の戦争 I 開戦前夜に」をスキャンした。
今度は「昭和の戦争 IV 彼らだけの戦争が」にとりかかる。
スキャンしてpdfの状態のまま読みだしたら止まらなくなってしまった。

結局「背中の勲章」180ページほどを一気に読んでしまった。
話はドーリットル空襲から始まる。
太平洋戦争で最初に米軍に捕虜となったのは5隻の特殊潜航艇に乗っていた10人のうち、生き残ったたったひとりの搭乗員、酒巻和男だけれど、二番目に捕虜となったのが1915年生まれの中村末吉で、彼はカツオ漁船を徴用した特設監視艇に信号長として乗り組み、ただただひたすら太平洋上で敵艦隊の動きを発見するための索敵パトロールに従事。敵艦を発見し、それを打電することで敵にもその存在を探知されてしまい、確実に死を覚悟する任務だった。海中で死を覚悟するが、敵艦に収容され捕虜となる。爾来4年半、米軍の捕虜としてカリフォルニアとウィスコンシンを往復することになる。ここでは酒巻和男は冷静なる軍人のように描かれるが、ハワイの捕虜収容所で日本人捕虜に接していたオーティス・ケリーの著書の中では結構面倒くさい捕虜に読める。酒巻和男は戦後TOYOTAに奉職し、外地の支社長まで務める。中村末吉は1946年11月に帰国する。故郷に帰って見ると立派な自分の墓が立っていた。