ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。


 この本のタイトルを見ると、「近代日本の地下水脈 I」となっている。ということはこっから先、少なくとも「II」が出るということで、「はじめに」の最後にも「このシリーズは・・・」と書いていることからも、あとから続編が出るということであるだろう。保阪正康は一体どれほど書くつもりなのかと、舌を巻く。全集物がまだ出ていないだけでもまだましか。実は彼の著作を網羅するつもりなんだけれど、全然できていない。サンデー毎日の連載ものを度ごとに単行本にしているようで、そっちには目が届いていない。

 巻頭で大日本帝国の軍隊はなんのために存在していたのかというと、戦争に勝って相手から賠償を取り上げて国を富ませるのが役割だと軍人は心得ていたはずだ、だから、兵の一人や二人、いやいや、千人や二千人なんぞ屁の河童だったという解説をしている。確かに明治政府ができてからの戦争といえば、ノモンハン以外は勝ち戦だった。それが決定的に敗北をして初めて否定された。それでも「国民がなってないから負けた」と戦後になっても言い放っていた将校はいくらもいる。

スキャンした本

 保阪正康の本を買いに教文館にいったけれど、棚にはなかった。念のためと思って店員さんにこの本はありませんかとお伺いしたら、入庫しているはずだというので探しに行ってくれた。この本は19日発売とウェブで見ていたので、その頃に入荷していればもう4-5日経っているはずで、つまり、教文館ではこの本を探しに来る客はいなかったということになる。それにしても13冊入っているということは、それだけこの店では実績があるということではないのだろうか。
 店員さんが探しに行ってくれている間に、平積みを見ていて、見つけてしまったので、これも一緒に!と買ってしまったら、2千円を超えた。こうなると、本もなかなか買えないよなぁ。書店が減っていくのがわかるような気がする。

 しかるに、この古本大全なる本は岡崎武志のこれまでのちくま文庫絶版四冊に若干を加えたものだというので、のっけに「書店」がなくなって、ウェブ上だけで古本が取引されるようになることはない、と書いておられて、古本に振り回される難民を真っ向から受け入れている。金持ちでなくては古本の海を悠々と航海することはできない。私なんぞはとっくに溺れて死ぬ間際までいって、ようやくズタボロになって這い上がってきたようなものだ。
 しかし、御蔵前書房のように、店を開いており、店頭に突き出している本にも、よく見ると入れ替わりがあるけれど、実際には中に分け入ることを実質上拒んでいる店だってある。外国の絵本だけを至上のテーマとして商っているけれど、時々分野外の本が格安で並んでいるような、ある種掘り出し物に価値がある古本屋もある。耽美系書籍にこだわっている古本屋で林家正蔵を見つけた時は、どうしたんだ!と思わず肩を掴んで揺さぶりたい衝動にも駆られたものだ。
 古本の海に溺れないように、できるだけ図書館で済ませよう。危ない、危ない。