ほぼ足りてまだ欲 その先

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日本語のわからない日本人

 「電車の中で”どいて下さい”といってしまって喧嘩」という投書が今朝の朝日新聞の投稿欄に載っていた。実はこの人はブラジルから来ている日系人だという。”もう少し詰めて頂けますか?”と云おうとしたんだけれど、日本語が下手だから思い浮かばずに、ついこう云ってしまったんだという。
 こういう話をずいぶん前、およそ25年位前に聞いたことがある。彼女は日系三世でその時、カリフォルニアの大学を出て直ぐだったと思う。当時私が働いていた会社に嘱託で雇用されていたのだけれど、会社の中でも見た目はまんま日本人だから、エレベーターの中なんかで英語で彼女と話しているとまわりは「なんだ、こいつら!」という顔で見ていた。それが辛いと云っていた。「スミマセン!」といかにもアメリカ人訛りの日本語で語りかけると「バカじゃねぇか、こいつは?!」という顔をされるというのである。
 かくいう私も街中でコーケイジャンの人から「スミマセン!」と日本語でいわれたにもかかわらず「May I help you?」と英語で対応しようとする決めつけのおっさんである。あの人日本語で話したかったんだろうに。
 日本で単純労働の許される唯一の外国人、日系人の人たちが沢山この国で働いている。で、この特権が実は闇の商品になる。日本に行って働きたいという途上国の人たちは沢山いる。しかし、日本は単純労働のための入国資格、在留資格が存在しない。でもあんなに沢山いろいろなところで働いている人に遭遇するじゃないか、ということになる。先日地元の地中海料理屋に食事に行ったら、オーダーをとってくれたのは日本語の上手な中国の人だった。普通だったらあの職種に就労するために入国できるはずはない。留学生、就学生のアルバイト、「研修・実習」生、あるいは日本人の配偶者、日系人という程度だろうか。
 日系人の場合には出先の日本公館を通じて書類を提出して法務省の滞在資格を得るのだが、普通の人はそんなことを自分でできないから、自然発生している代理店に頼む。私が聞いた話ではそんな代理店が日本から来た返事がOKだったとしても本人には「認められなかった」と回答し、そのOKになった書類を金を沢山出す人に売るというのだというのだ。もちろんちょっとした偽造は必要だけれど。
 なぜこういうことが起こるのか、といえば原則で許可しないのにもかかわらず、例外措置をつくるという姑息な手段で現実的には存在する問題を解決しようとするからである。そこには闇の権益が生じることになるのだ。


 それでも電車の中で中途半端に座っている奴は数知れず。隣の人にくっついて座ると”何よ!このおやじ!”と思われると嫌だからなんだなぁ、どうやら。もちろん、偉そうにふんぞり返って座りたいからそうしているバカも沢山いるんだけれどね。で、そこで口に出して「詰めて欲しい」という意思を明確に告げたその日系人の人は偉いと思うな、私は。今の日本人は電車の中で言葉を口にしないもの。