ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

思った通りじゃん

 「教育再生会議野依良治座長)が来年1月にまとめる第1次報告の原案が16日、明らかになった(Asahi.net 2006年12月17日07時57分)」のだけれども、これは「21日の総会で提示した第1次報告(Asahi.net 2006年12月22日07時54分)」となってあらわれた。この記事によると「実現可能性」を重視する事務局が主導したものだが、「独自色」にこだわる有識者委員は「我々の意見が反映されていないと猛反発」なのだそうだ。「まるでヒトラーのようだ。事務局の案と私たちの言っていることが全然違う。劇団四季の代表である浅利慶太氏は総会後、吐き捨てるように言い、首相官邸を後にした」とまで書いている。
 しかし、これは審議会やら諮問委員会やらが構成されると必ず問題になるポイントだ。それでも今回はこういう反応が出てくるだけまだマシである。他のこうした会議ではそんな騒ぎにもほとんど成らず、御用学者の皆さんを中心とした学識経験者という方たちが「そうだ、そうだ」といって官僚の成績優秀な方たちがお作りになった原案にお墨付きをお与えになる。今回は何が語られようと「実現できなきゃ意味がない」という切り札で斬り捨てる積もりのようである。
 読売は「このため、複数の委員から「具体策に踏み込んでいない」「事務的な文章になってしまった」という批判が出た。首相も総会でのあいさつで、「ある程度具体的な目標や検討課題を入れて頂きたい」と指示した(2006年12月21日12時30分 読売新聞)」と書いているけれど、概して書き方がなぜか素っ気ない。
 NIKKEI NETでは「報告原案は授業時間数の増加や教員免許更新制の導入、社会人の中途採用による教員の質の向上などを盛り込んだ。会合では「ゆとり教育の見直し」の明記などを求める声も相次いだ。教育委員会改革は一次報告では結論を見送る。安倍晋三首相は会合を締めくくるあいさつで「取りまとめは大変な作業だが、だんだん収れんしていくと信じている」と語った(061221 14:23)、としていて具体的にどんな具合に揉めているのかが明確ではない。
 一方中日新聞は「同会議事務局長の山谷えり子首相補佐官は記者会見で「全体の方向づけは了解を得た」と述べた。ただメッセージ性が弱い上、有識者の意見が反映されていない部分が多々あることから、あらためて有識者の意見を聞いた上で文章をまとめることになった(061221)としていて大した問題ではないという雰囲気が漂う。
 北海道新聞も「いじめる側の出席停止措置容認や授業時間増、不適格教員の排除などを盛り込んだが、抽象的な記述や先送りが目立ち、委員から異論が相次いだため、調整を続けることにした(2006/12/21 14:22)」という記事でどちらかというと「揉めてるよぉ〜」と指摘しているといって良いだろう。
 ネット上の新聞記事は、ここで改めて書くまでもないけれど、すぐに消えてしまうので最も強く書いていると思われる朝日の記事をここに保存しておこう。

「まるでヒトラー」 迷走続く教育再生有識者委員反発 朝日新聞 2006年12月22日07時54分
 安倍首相直属の教育再生会議野依良治座長)が21日の総会で提示した第1次報告の原案には、教育委員会の見直しや不適格教員の排除などの具体策がほとんど盛り込まれなかった。原案の作成は「実現可能性」を重視する事務局が主導したものだが、「独自色」にこだわる有識者委員は「我々の意見が反映されていない」と猛反発。来年1月のとりまとめに向け、首相の指導力がここでも問われている。
 「まるでヒトラーのようだ。事務局の案と私たちの言っていることが全然違う」
 劇団四季の代表である浅利慶太氏は総会後、吐き捨てるように言い、首相官邸を後にした。原案作成が、官僚中心の事務局の「独裁」で決められたとの受け止めで、不満が収まらない。
 浅利氏ら17人いる有識者委員の一部と事務局が参加し、素案や原案を練り上げる運営委員会では「あきれるくらいのスピードで教委を全面的に見直す」「文部科学省が用意する教員免許更新の法案にストップをかける」との意見が相次いでいた。
 しかし、教委については、11月30日に示された素案にあった「教育委員に保護者代表を任命」「教育長は教職経験者に偏らせない」などの具体策は、原案では姿を消し、「今後の検討課題」に。「学校再生」をテーマとする分科会に出席した有識者委員の間では文科省の準備する免許更新制だけでは不十分との意見が大半だったのに、不適格教員排除の具体策は盛り込まれなかった。
 当初の素案に盛り込まれた「ゆとり教育の見直し」の文言も消えた。歴代文相・文科相の決定を否定しかねないだけに事務局が配慮した。大半の委員が賛同した「教員の量の確保」も「予算の裏付けがない」と事務局が難色を示した。
 第1次報告の素案や原案は、総会や分科会での各委員の発言をもとに事務局がたたき台をつくり、運営委員会で意見を言い、事務局が書き直す――を繰り返し、最終的には事務局がまとめた。
 21日の総会は「百家争鳴」状態で、ワタミ社長の渡辺美樹氏は「我々が話し合ったことが(原案で)触れられていない。会議を報道陣に公開し、そこで総理が判断するなら納得できる」と首相に「直訴」。首相は「みなさまの意見をまとめるのは大変な作業だが、だんだん収束していくと思う」と、理解を求めざるを得なかった。
 その首相は今月6日、再生会議座長代理の池田守男・資生堂相談役らとの会合で、「教育改革の意見は出尽くしている。実行できるかどうかだ」と強調したという。有識者委員には「もっと再生会議の独自色を」との思いが強いが、事務局はこうした首相の姿勢を盾に「立派な作文をしても、実現しなくては意味がない」とかたくなだった。
 事務局は政策決定過程を熟知する官僚出身者が仕切る。教育改革には、与党の文教族議員や文科相の諮問機関の中央教育審議会規制改革・民間開放推進会議などが絡むため、慎重になりがちだ。伊吹文科相も21日、「皆さんがおっしゃったことを国会に出すか、まず行政が判断する。その上で立法の判断がある」とクギを刺している。
 一方、再生会議担当の山谷えり子首相補佐官は21日の原案について「おおむね方向性は了承された」と述べたが、担当室長に抜擢(ばってき)されたヤンキー先生義家弘介氏は「ペーパーは提出されただけ。たたき台のたたき台」と食い違いも見せる。首相が掲げる官邸主導が機能しているとは言えない状況だ。