ほぼ足りてまだ欲 その先

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 裁判員制度は国民の関心を得ていないというのは感じてはいたけれど、ここまでだとは思わなかった。タウン・ミーティングのヤラセが発覚したのはいつだったか。少なくとも今月の大阪でのフォーラムでは「こりゃやばいぞ」とは思わなかったと、そこに驚く。

裁判員フォーラムに謝礼で「動員」 共催の産経新聞など Asahi.com 2007年01月30日01時33分
 最高裁全国地方新聞社連合会が各地で共催した「裁判員制度全国フォーラム」で、大阪と和歌山では産経新聞社が、千葉では千葉日報社が、謝礼を払って「動員」をかけていたことが29日、わかった。最高裁は同日深夜、記者会見を開き、「新聞社側が裁判所の了解なくやった」と事実関係を認めた。フォーラム後には開催内容の特集記事が掲載され、最高裁裁判員制度についての広告も掲載されていた。
 最高裁によると、動員があったのは(1)大阪(2005年10月と今年1月)(2)和歌山(2005年11月)(3)千葉(2006年1月)の計4回。大阪では、2005年10月に49人を、今年1月は70人を動員。いずれも産経新聞が人材派遣会社を通じて1人当たり約5000円を支払った。和歌山では125人を動員。産経新聞が広告会社を通じて依頼し、系列誌の配達員らに約3000円を支払った。千葉では38人を動員。千葉日報の担当者が知人らに声をかけ、約3000円を払った。費用はいずれも両新聞社が負担していた。産経新聞の担当者は、参加者が思うように集まらなかったため金を払った、と説明しているという。朝日新聞が今月、情報公開制度に基づいて入手した最高裁電通の契約書によると、2005〜2006年に全国50カ所であったフォーラムは約3億4000万円で発注。電通が地元新聞社に会場費などを支払う形で運営された。電通は企画書で、地方紙と連携することで総発行部数約1900万部の読者に届くとアピール。各社は社告などで事前広報していた。
 最高裁は、大阪での「動員」の情報が寄せられたため、企画した電通を通じ全国の新聞社に事実関係を照会。この4件が判明したとしている。
■「参加人数集まらず…」
 産経新聞社は30日午前0時半から大阪本社(大阪市浪速区)で記者会見を開いた。報道陣約40人を前に、専務の根岸昭正・大阪代表が「こうした行為は報道機関としての新聞社の社会的責任を忘れた行為であり、深くおわびする」と謝罪した。関係者の処分については「社内基準に基づいて厳しく処分が行われると思う」と話した。
 説明によると、不適切な募集行為は、参加人数が思うように集まらないことからフォーラム担当の営業局員が発案した。根岸専務は最高裁の関与を強く否定したうえで、「いずれのケースも、できるだけ多くの参加者を募ることが動機だった。特定の質問を依頼したことはなく、支払いは事業費とは別に産経新聞大阪本社が負担した。不祥事が再び起きないよう、信頼の回復に全力を傾ける」と説明した。
 産経新聞社は「国民の不信を招くような事態を起こしたことを深刻に受け止め、責任を痛感しております」とのコメントを出した。
 千葉日報社は「まれにみる悪天候を懸念した独自判断とはいえ、一部に不信と誤解を招いたことは報道機関としてあるまじき行為。関係機関に多大なご迷惑をおかけしたことを心から反省し、深くおわびします」とのコメントを出した。
 最高裁のコメント「金銭を支払って参加を募るなどということは、裁判員制度の意義や内容に対する国民の理解を深めるというフォーラムの趣旨、目的に沿わない不適切な行為。フォーラムを共催した新聞社によりこのような不適切な募集が行われたことは、主催者としてまことに申し訳なく、今後、同様のことが起こらないよう厳に注意してまいりたい。」

 やっぱり中央と地方との間にはアルバイト代にも格差があるということがはっきりと分かる、というのはこの際関係ないんだけれども、これって結局無駄遣いそのものだ、ということなのかそれとも富の再配分の究極的手段なのかね。朝日新聞は昨日はNHKに溜飲を下げたろうし、今日は産経に溜飲を下げたのだろうか。
 しかし、真夜中の0時半に記者会見とはこれまた新聞社として面目躍如たる時間設定ではあるまいか。良くやる手ではあるのだけれど、今回のまたまた電通による陳腐な表面ツラを「小賢しく」装うそのメンタリティと、この産経新聞のここぞとばかりのもう手垢にまみれてすり切れた様な対応を今更ながらに持ち出すその精神構造に(尾籠な話ではあるが)反吐が出そうだ。
 再来年5月までに始まる裁判員制度が実際に動き出すと、法廷の雰囲気というものは一体どんなものになるのだろうか。70歳以上、学生、介護者等は免除されるらしいけれど、そこに集まる6名は全く異なるバックグラウンドを抱えた市民の筈である。そうなると取り組む姿勢も千差万別だ。「無関心こそ最大の罪です」と例のキャンペーン映像では中村雅俊が演じているけれど、どんなに白熱した議論になっても裁判官がそれを無視して結論を出すということになったらきっと噂になるだろうし、裁判員同士の議論が白熱したらしたで今度は裁判員同士のトラブルが始まったりしないのだろうか。
 きっとこのフォーラムのやり方については多分広告代理店からプレゼンテーションがあって決まったのだろう。それなのに人が集まらないのでは面子が立たないという要素もあったかも知れない。それともひょっとしてそんなこんなを乗り越えて、こうしたトラブルが起きた方が「裁判員制度」そのものへの関心を呼び覚ますことができるという高等技術だったりなんかしたら、そりゃ凄いぞ、電通!な、わきゃぁないか・・・。