ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

TBS - 「CBSドキュメント」

 今朝未明の番組で放映されたのはCBSの48 HOURS MYSTERYの枠で今年の3月10日に放映された「Dangerous Reunion ー Two Women Fight To Keep A Killer Behind Bars」という番組だった。こんなことをいっては申し訳ないけれど、この日のレポーター、Susan Spencerはどうしてこう無表情なんだろう。
 この番組に出てくるTwo Womenとはテキサス州River OaksのCastleberry High Schoolチアリーダーだった二人の女性。1981年にこの町で起きた殺人事件の被害者はこの学校のYear Book(毎年発行される学校のアルバム、卒業アルバムとは違ってその年の学校を表しているもの)に掲載されているチア・リーダーズの写真の左側に映っている女性三人のうちの二人がレイプされた事件で怪しいかも知れないと被害者が表現した男が三人目を殺した罪で逮捕される。この男がこの高校のフットボール部のヒーローで人気者であったWesley Wayne Millerであった。
 彼女ら二人のレイプされたけれどもこの男が犯人と断定されるところまでいかなった被害者の他にも、その写真の中に映っていたもうひとりの女性のレイプ事件は犯人がこの男だと確定された。ここまで来れば通常であれば、終身刑はおかしくない。しかし、彼の裁判で陪審は更生の余地有りとして、25年の刑にする。米国の高校でフットボールの花形選手といえばみんなの憧れの的であり、アメリカン・ドリームのひとつのステップだといっても良い。そんな過去が陪審員に影響を与えないとは云えないだろう。
 刑に服すMillerは毎年のように仮釈放の申請を出す。Two Womenは彼をそのまま自由の身にしたら、犠牲者が増えるのは眼に見えている、として多くの関係者に手紙を出すところから運動を始める。その結果、彼を25年の刑期満了後全くのフリー状況におくのは危険だと訴える。この番組ではその過程を克明に写しだし、法廷へのMillerの出入りを待ちかまえ対峙するようにし向ける。
 結果的にMillerは性犯罪常習者と判断され、釈放後も民事拘禁下におかれることになる。これは「ミーガン法」( Megan's Law )によって米国のほとんどの州で適用されている「性犯罪者たちの情報を公開する」というものである。Millerは実際に2007年3月に釈放され、常時GPSによって監視されている。しかし、吉川の説明によるとMillerが暮らすテキサス州ではこれまでにGPS監視下に置かれていた二人の人間が既に逃亡して行方知れずになっているという。
 とことん個々人情報を公開し、性犯罪から「市民の安全を守る」というのは非常に重要だ。しかし、ここまで徹底して個人情報を公開するということは過去に犯罪歴がある人間は刑に服してきても社会に復帰することが出来ないという「人間更生論」の否定である。ここに私は迷ってしまう。それではそうした過去を持つ人間がまた同じ犯罪を犯し、新たな犠牲者を生んだらどうするのか。どんなことをしても何年か経てば出てこられるんだという保証をしてしまって、犯罪予備軍に対しての抑制効果をもたらさないではないか、という意見にも正当性があるようにも思う。しかし、人間はもうやり直すことは決して出来ないのだという限界線をどうやったら見極めることが出来るというのだろうか、という点で逡巡するのだ。
 来週は米国では3月25日に放送されたものから、

  • 「Exclusive: John And Elizabeth Edwards ー Edwards Open About Cancer, Unconditional About Couple's Decision On Presidential Run」妻の癌宣告を受けながら大統領選に出馬を表明しているJohn Edwards夫妻
  • The Network ー Hassan Butt Tells Bob Simon Killing In The Name Of Islam Is A "Cancer"」自爆テロ志願者のリクルーター
  • 「Dennis Kozlowski: Prisoner 05A4820 ー Morley Safer Speaks With The Ex-Tyco Chief Behind Bars」1億ドルを超える会社の金を横領したとされて服役中の元TycoのCEOのインタビュー