ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

三回だけ

 先日ラジオで平尾昌晃の話を聞いていて驚いた。彼のヒット作といえば「みよちゃん」だったりするわけだけれど、デビュー作は勿論そんな彼のオリジナルではなくて、残念ながらタイトルを失念してしまったのだけれども、当時の歌手の多くがそうだったようにアメリカのポップの焼き直しだった。原曲を聴けばわれわれ世代であればすぐに想い出す曲だ。当時彼は19歳。当時は勿論同時録音で、今のようにメトロノームを聴きながらパーカッションから録るなんてことをするわけはないのであって「せーの!」と一発で録る。なんとバックは原信夫とシャープス&フラッツで、コーラスは♪「ローハイド」で革のスリッパを持ち出してきて「パシ〜ンッ!」と鳴らしていた、元はといえばハワイアン・バンド(昔はハワイアンが主流だったわけだが)の伊藤素道とリリオ・リズム・エアーズだったというのである。ところがバックは三回しか演奏しないというのである。たったの三回である。三回演奏し終わってしまうと「はい、さようなら」と撤収してしまうというのである。その三回のテイクから盤にするものを選ばなくてはならないというわけで、随分とさっぱりしているというか、賭けそのものだというか、道理で彼のデビュー曲の録音盤もセリフがなんだか遠慮の塊のような語りで、今だったらそこだけ何回もやり直す、あるいはつぎはぎしちゃうだろうという代物だ。それでも平尾昌晃は今でもステージの幕開けにこの曲を唄うんだそうで、自分の始まりの原点を常に忘れないように見つめ続けるんだという。昔の自分をなるたけ振り返りたくないというのではならないというのである。なんだか今まで彼のことをなんだかへらへらしてやな奴だと思っていたのだけれど、結構見直しても良いかなぁとこの歳になってようやく思うのである。
 ところで7月16日のNHK-FMの「三昧」(13:00-22:00)は「ハワイアン」だそうだ。16日の月曜日は「海の記念日」のなれの果てか。これでは一体なんの祭日なのか全くわからない。