ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

相手にされてないってことか

 国家公務員の第二の人生たる再就職斡旋を一元化するという名目で「官民人材交流センター」なるものが作られるということになっている。そんなものなくたって良いじゃないか、民間の人と同じように「ハロー・ワーク」を使えば良いんだよ、という意見もある。ま、多分それはそのまま野放図になる、という図式にしかならないからなんら現状の変革にはならない。どうやら国家公務員になる時にはほとんどの人が将来的にきっと儲かることがある、と思って胸算用をして期待しているのだそうで、それを不正だ、やらずぶったくりだというのはそういう立場に立ちたくても立つことのできなかった、勉強のできなかった輩の妬みでしかないのだ、悔しかったらなれば良かったじゃないか、君も、という本音が見え隠れする。
 しかし、問題になるのは、それまでの経歴を売り物にして、仲間内で、いってみれば利権を回り持ちするという行為であるし、ほとんど世間に対してなんのお役にも立たない行政法人を創り出し、くその役にも立たないパンフレット造りやら、全外注で頁数だけはあるけれどろくすっぽ見るべき中身を収録していない調査報告なんてものを作って官から金を出す。そこを渡り歩くことによって、仲間内の懐をお互いに潤すという行為が、明らかに税の無駄遣いだからなのである。
 私たちは彼らになんの義理立てがあって、彼らの豪華な老後を支えるためにそんな税を納めてこなければならないのだろうか。
 つまり、公務員の再就職斡旋を各省庁のやりたい放題に委ねておくということからの脱却のために何らかの手段をひねり出すことはとても重要なんだけれども、その前にどう見ても用もないのに作られてしまった法人を潰していくことの方がもっと重要だろう。
 民間が元国家公務員に再就職の席を用意するのは明らかに官の仕事を受注するための一手段としてのことであり、誰がどんな言い訳をしてもそれを覆すだけの説得力はない。民間にもその程度の技術と知恵を持った人間はざらにいる。ましてや様々な現場を経験しているだけ民間の方がつぶしがきく。彼らがずっと民間で仕事をしてきた人間と決定的に違うのは役所の中、そしてその業界の各企業に並々ならぬ面識があるということだろう。
 何はともあれ、7月18日に例の「官民人材交流センター」の組織の在り方を検討するため有識者会議「官民人材交流センターの制度設計に関する懇談会」の初会合を首相官邸で開いた。
メンバーは下記:

ま、この際、メンバーの構成がどうのこうのというのはやめておく。
 当然既得権益の崩壊につながるわけだから各省庁の官僚諸君はこれまで手練手管でやっつけてきたように、こんなものはお題目だけにしておいて立派な骨抜き、ざる法に仕上げようとする丁々発止があるだろう。だからと、首相官邸はネットでこの会議を中継しようじゃないかと言い出しているらしい。官邸がそんなことを言い出すなんて、考えてみると随分世の中は変わろうとしているんだなぁと感慨深い。
 第2回の会合を23日(月)に予定し、そこに「実態を把握するため、官製談合や多数の天下りが指摘されている厚生労働、農水、国土交通、財務四省の官房長を呼び、公開の下で実態を聴取することも決めた」と新聞が報じるようにかなり突っ込む姿勢を見せる。
 ところが各紙が報じているのだけれど、「事務次官経験者に会議への出席を求めたが、全員が拒否していたことが22日に分かった。塩崎恭久官房長官横浜市での街頭演説で明らかにした(東京新聞2007年7月22日 21時46分)」というのだ。それ以前にもすでに読売新聞が「現在の各省でのあっせんの実情を正確に把握する必要があると判断し、4省の官房長に加え、事情をよく知る次官OBからも実態を聞く方針だった。出席を要請された次官OBは、財務2人、厚生労働2人、国土交通1人、農林水産2人で、いずれも現在は財団法人などの役員に再就職している。同懇談会はマスコミに公開されることが決まっており、「衆人環視の状況で、委員から実態解明を迫られることを嫌ったのではないか」(政府関係者)との見方がある。また、7人の中には今回の公務員制度改革に反発している人もおり、「欠席は抗議や抵抗の姿勢を示したものだ」と受け止める向きもある。同懇談会では第3回会合にも、引き続き次官OB7人の出席を求める方向だ(2007年7月21日20時53分 読売新聞)」と報じてもいる。国会の委員会に出て行く時とは大違いで、なんだかつるし上げを食うような場所に出ていくなんてことをあのプライド高き、あたかも「俺を誰だと思ってんだ!」と平気でいいそうな連中が出ていくわけもなかろう。厚生省官僚が入れ替わりで美味しくキャリアを積んだ、ろくな仕事をしなかったというよりは思いっきり年金を食い潰した、社保庁長官経験者ですら、なんで俺が報酬を返さなきゃならんのだ、といっているのがいるくらいである。聞こえてきそうなのは「仕事をしなかったのは自治労だろう!それを糾弾しなかったのはいったい誰なんだ」と方角違いなセリフくらいか。
 さすがに各紙はこの要請した元次官経験者までは書かないのかと思ったら立派に書いてあって(7月21日19時6分配信 産経新聞)、それはこの7人だそうだ(経歴の判明したものとしないものとに差があるが、とりあえずわかったところだけ)。

財務省】細川興一・新エネルギー財団顧問:

1947生 富山県立富山高 東大法1970卒 1970大蔵省入省 2004-2006財務事務次官

財務省】林正和・日本投資者保護基金理事長:

1968年東大法卒大蔵省入省。経済企画庁長官官房長、主計局長、2002−2004財務次官、東京証券取引所が新設する自主規制法人の初代理事長に内定と報じられており、塩崎恭久官房長官渡辺喜美行政改革担当相らが「元官僚の天下り」などと痛烈に批判。尾身幸次財務相山本有二金融担当相らが反論するという、「閣内不一致」が露呈。

厚生労働省】大塚義治・日本赤十字社副社長:

1970厚生省入省 厚生大臣官房長1999.08-2?老人保健福祉局長 2001.01-2002.08保険局長 2002.08-2003.09厚生労働審議官2003.09-2004.07 厚労事務次官 2004.07退官 2005.04-赤十字社副社長

厚生労働省】戸苅利和・高齢・障害者雇用支援機構理事:

1947生 熊谷高校 東大経卒。1971年労働省入省。民間需給調整事業室長 労働基準局賃金時間部長、職業安定局次長、大臣官房長、職業安定局長、厚生労働審議官 2004.07-2006.08 厚生労働事務次官

農水省】石原葵・食生活情報サービスセンター理事長:

1946生 私立高槻高校 東大法1970卒 1970農林省入省 農水省水産流通課長 総務審議官、食糧庁長官、2003-2004林野庁長官、2004-2006.10農水事務次官

農水省】渡辺好明・東京穀物商品取引所理事長:

1968東京教育大学文学部(経済)卒 農林省入省、大臣官房企画室長、林野庁林政部長、環境庁水質保全局長、農林水産省構造改善局長、水産庁長官、農林水産事務次官等歴任、2004退官(農林水産省顧問) 2004.04-2006.09内閣総理大臣補佐官郵政民営化準備室長(推進室長)、2006.10-2007.05東京穀物商品取引所・特別顧問、2007.05東京穀物商品取引所・理事長就任(ちなみに東京穀物商品取引所は三役プロフィールを公開していて、専務理事;窪田武は1967.03東大法卒農林省入省、大臣官房総務課長、水産庁海洋漁業部長、林野庁林政部長、国土庁土地局長等を経て1998年に退官。1998.04-2001.03農畜産業振興事業団(現独立行政法人農畜産業振興機構)副理事長。2001.04から財団法人土地情報センター副理事長(現在も非常勤副理事長として在籍)2001.05-2003.05東京穀物商品取引所・常務理事。2003.05から同・専務理事。そして常務理事;林正徳は1972.03横国大経卒04農林省入省。在ジュネーヴ国際機関日本政府代表部参事官、経済局総務課長、経済局国際部長、大臣官房統計情報部長等を経て2003.01退官。2003.05から東京穀物商品取引所・常務理事だそうだ。)

国土交通省岩村敬・港湾近代化促進協議会会長:

1944生 東教大付属 東大法1969卒 1969運輸省入省 運輸省航空局長 運輸省運輸政策局長 国土交通省総合政策局長 国土交通省大臣官房長 2004.07-2005.08事務次官