ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

道路特定財源

 自民党福田内閣が主張している道路特定財源の10年間の暫定期間の延長には明確に反対することにした。地方の道路の必要性というものがお前は分かっていないという反論に出会うことがあるだろうことがあって自分自身の心の中ではなかなかはっきりしなかったのだけれど、どうやらこの特定財源が純粋になくてはならない道路のためだけに用意されてきているのではない、という様子が徐々に分かってきてしまったからである。「道路建設」という名目を借りて様々な付帯的施設・設備に支出されており、それがいくつもの官僚の天下り先となる組織を潤わせ、そうしたところに天下る官僚がぬくぬくと暮らすそんなシステムが存在することがようやく今頃になって見えてきているという要素は大きい。2007年10月1日現在で国土交通省管轄の公益法人は1,142法人を数え、そのうち社団法人が735、財団法人が407である。これの一つ一つが何をやっていて、どれほど元官僚が就職をしていて、どれほどの収入が国土交通省から漏れているのかを明確にして欲しいものだ。各民間企業にコンプライアンスが求められる以上、税金によって運営されている各組織がそれぞれのそれを求められなくて良いわけがない。そう思って調べてみる。こちらに各法人のリストがある。ひとつひとつを詳細に見ていくのはとても長い時間と労力を要する。

「財団法人道路保全技術センター

 取り敢えず結構取り上げられていて有名な道路局関連、財団法人道路保全技術センターをひらいてみると常勤役員三名は全員元国土交通省の高級官僚出身である。佐藤信彦理事長は元建設省技監、森永教夫専務理事は元国土交通省東北地方整備局長、岡部安水理事は元国土交通省国土交通大学校副校長である。ここだけでも充分になるほどなぁと思う。非常勤の理事や監事には浅井新一郎元建設省技監、今田徹元建設省土木研究所道路部トンネル研究室長、鈴木道雄元建設省事務次官の名前が見られる。そしてこの財団の常勤役員給与規程によると理事長本給994,000 円、専務理事本給922,000 円、理事本給843,000 円が上限だとされている。当然こちらからみればその上限が支払われていると思って良いだろう。そしてこの他に「(調整手当)本給の月額に100分の14を乗じて得た額」があり、「(業務管理手当)本給の月額に100分の50以内で、理事長が別に定める率を乗じて得た額とする」とされている。ここに調整手当はなんです、業務管理手当とはなんですとは書かれていない。
 これだけの内容を「はい、情報公開です」といけしゃぁしゃぁと公開しているものだと感心するし、堂々としているいえば堂々としている。つまり当事者は別にこれが社会的に見て特記すべき待遇だとは思っていないのかもしれない。それ自体がもう既にずれているといって良いだろう。多分、ここで自らの待遇を社会的に見ても納得ができるものに改訂したとしたら、その後にやってくるであろう後輩たちに問題視されるであろうことを危惧しているであろうことは容易に想像がつく。ここが「家族主義」といえばいえる問題点だろう。
 この財団法人の発表資料だけでこれ以上を推定していくのはなかなか無理があるかもしれないが、ことほど左様であると想像されてしまうのは仕方のない状況だといえる。

「財団法人道路新産業開発機構

 では財団法人道路新産業開発機構はどうだろうか。非常勤会長は奥田碩トヨタ自動車社長、非常勤理事長は鈴木道雄元建設事務次官、常勤専務理事は田中正章元建設省建設大学校長、常勤常務理事は田島正興元国土交通省大臣官房審議官と辻英夫元国土交通省北陸地方整備局企画部長だと記されている。ここの給与規定には本給が月額専務理事883,000円で、常務理事は843,000円とされている。勿論これだけでは終わらなくて本給の100分の14という特別調整手当なるものがあり、100分の50の業務管理手当てがある。これがフルに適用されると専務理事なんぞは月額150万円になる。退職金も勿論規定されていて在職一ヶ月分について本給の100分の12.5と規定されているから専務理事だったら一ヶ月分が11万円になる。いってみれば給与の別払い分といえないこともない。しかも役職が替わったらその度に退職金が支給されると書いてある。
 公開されている給与規定を見て驚くのは毎年とはいわないが、ほとんど毎年といって良いくらいこの給与規定が改定されているということだ。

「財団法人駐車場整備推進機構

 昨日のテレビで取り上げられていた「財団法人駐車場整備推進機構」はどうだろうか。これも昨年2007年8月1日時点だけれど、非常勤会長はこれまた前トヨタ自動車社長の張富士夫で、同じく非常勤の理事長は鈴木道雄建設事務次官。常勤専務理事は矢野善章元国土交通省国土地理院長、常務理事は池内眞一元国土交通省大臣官房審議官と平石治兌元警察庁関東管区警察局長、そして沖村恒雄元建設省大臣官房付である。非常勤理事には荻原達朗建設省大臣官房付、白川進・通商産業省基礎産業局長、立石真・建設省住宅局長、名尾良泰・関東経済産業局長、非常勤監事に馬渡五郎・国土交通省国土交通大学校長の名前が記載されている。
 この財団は役員報酬規約については全く公開していない。
 この財団の設立目的には「当機構は、駐車場の整備に関する調査研究、道路等の公共空間等を活用した駐車場及び住宅地域等における駐車場の整備に対する幅広い支援等を行うことにより、駐車場整備の一層の推進に貢献し、もって道路の安全かつ円滑な交通の確保、都市機能の向上、良好な市街地形成を図り、豊かでゆとりのある国民生活の実現に寄与しようとするもの」とかかれているが、昨日のテレビの報道では道路財源から支出された費用を元に駐車場を経営し、そのまま財団で経理処理されているというものだ。
 この財団が経営している駐車場は全国に14ヶ所あり、昨日のテレビで報じられていたのは大阪の桜橋駐車場である。1998年に供用を開始した200台分の自走式の駐車場。国費だけで90億円を投じて作られたもので一台分あたりの駐車場建設費は4500万円にものぼる。駐車場料金30分間300円らしい。

さて

 こうして国土交通省の管轄特殊法人はもう数え切れなくて、全部なんてとても見ている時間がない。しかし、上にあげた財団はちょっと調べただけでこれだけの情報が出てくるのだから(それが社会的にどんな意味を持つかを認識しているかどうかというところは大いに問題だけれども)まだマシなんだと思う。他の多くの法人はそんなこと知ったことかの雰囲気である。官僚社会は底の知れない常識のなさが不気味極まりない。これだけのバックグラウンドを示されて冬柴某は完全に後ろを向いて仕事をしているし、それに代表される政府・与党の主張にはとても我慢ができない。民主党議員で与党と一緒になって暫定税制の延長に怒鳴り声を上げていた議員が確かいたのをテレビで見た。彼が何ものかもしっかり見ておこうと思う。
 これだけ道路特定財源が問題になっていながらどうして国会の議論の場でこうした底なし沼を明らかにするという行為が議論されないのだろうか。それでいて「必要な道路は造る」だけで乗り越えようとするのは国民を明らかに馬鹿にした行為で、このまま乗り切ればわかりゃしないといっているようなものだ。
 かえすがえす思うけれど、高級官僚の諸兄はどんなことをしてでも国民からぶんどるためにうまい文章を作り目先をくらますために受験勉強をやりそんな腕を磨いてきたんだろうなぁ。実に優秀だと全く官服つかまつる。