ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

発覚するのはどうして・・

ミートホープ社

 見るからにワンマン、見るからにいい加減、という印象をまず第一発目のテレビでのインタビューでギラギラに告知してしまった田中稔社長。「銀行からの借り入れが約7億円にのぼり、債務超過」といい、自己破産申請、自身も自己破産申請。そのくせ、かみさんに退職金を8千万円出していたという。反省しているといっているらしいけれど、どこまでが本当かわからないという印象。そのうち人の噂も七十五日ってぇ計算なんじゃねぇの、というまゆつばものだという気持ちが全然ぬぐえない。
 6月の後半にちょいと出かけてしまったので、牛肉ミンチの偽装事件の発覚は知っていたけれど、その後どう展開したのか知らずにいた。気がついたら農水省北海道農政事務所と北海道のあいだで通知したのしないのとぶつけ合いがあり、農政事務所の所長や職員ら計5人に対する処分が発表されたと報じられている記事を見た(朝日新聞2007年08月01日21時46分)。何があって、農水省の現場と北海道とのあいだの報告したのしていないのが問題になっているのかがわからなかった。
 そこで見つけたのが朝日新聞サイトの「偽装牛肉特集サイト」だった。
朝日新聞2007年07月07日08時17分の記事によると、

  • 苫小牧市内にある農水省出先機関の職員が2006年2月3日、容器包装の調査で訪れた食品製造会社の役員から、不適切な表示例について相談されたのが端緒だが、翌7日に役員から「今後の取引に支障が生じる」と外部に話さないように伝えられた。
  • 北海道農政事務所はミートホープのホームページから、道内だけで営業する業者で国の管轄ではなく、道の管轄と判断。しかし、情報提供者の意向に配慮して、この時点での本省や道への連絡を見送った。その後、子会社を調べていた別の課から報告を受けた本省は道へは情報を伝えるよう指示したという。
  • 2006年3月24日に道庁に文書を持参したという同事務所の職員は手渡した時間帯や相手については「記憶がない」と話している
  • 2006年9月25日に苫小牧署からミートホープの疑惑に絡み、「日本農林規格JAS)法上の見解が知りたい」と農政事務所に問い合わせがあった
  • 東京営業所の存在に気付き、国の管轄であると判断を改めた
  • 警察の捜査に影響を与えてはいけないとの思い込みから、調査を本格化させることはなかった
  • 同署とは連絡を取り合い、牛肉のDNA鑑定に協力したり、署員の依頼に基づくミートホープへの立ち入り検査をしたりしていた(立ち入りに際して保健所は事前に日程を通知していたため、同社が工場内を片づけ、保健所の検査をかいくぐっていたといわれている 朝日新聞2007年07月03日07時15分)

 ミートホープ社の元幹部は農林水産省北海道農政事務所に偽の牛ミンチを持参して不正を訴えたが、農政事務所の動きは鈍かったという。告発は事実上放置という結果だった訳。
 農政事務所が机を立ってそのままの足でミートホープ社を訪ねてみれば良かったのだ、ということはすぐにわかる。なんだかバレーボールの試合でフロントがマメにブロックに飛ぶか飛ばないかという話と一緒で(そんな単純な話じゃないと必ず反論があるのは想像に難くない)、ちゃんとやるかやらないでズルズルしていると時間なんてものはどんどん飛んで行ってしまい、何もしないうちに事件はどんどん大きくなると云う話である。バレーボールの場合はバンバン叩かれて試合に負けちゃうって云うだけの話なんだけれども、今度の場合はその肉を使った商品がどれなのかわからないんだからそれを食べてどうなるかわからないという話である。
 そういえば、最近気に入っている某大手パスタメーカーが作っているレトルトのミートソースがあるんだけれど、あれ、大丈夫なのかなぁ。時々近所の店で一袋99円で売っているものだからついつい買ってしまうんだ。値段に引かれてかっちまう奴が悪いといえばそれまでなんだけれどねぇ。

フジテックのエレベータ

 なんでもエレベータの籠を支える鋼材の一部に強度の劣る鋼材が使われていた事件なんだそうで、これまた「安いエレベーター」で産業界ではよく知られたメーカー「フジテック」とそこに鋼材を収めていた業者である「JFE商事鋼材販売」という企業とのあいだで話がずれているという。
 で、その「籠を支える鋼材の一部」ってのはどこのことなんだろうか。それがわからない。なんで新聞は説明してくれないのだろうか。そんなの説明したって素人にはわからないということなんだろうか。それくらいは説明して欲しいものだ。
 この事件の発端は7月12日の国交省に於ける記者会見で「フジテック」が発表したものが最初だったのだろうか。で、フジテックはどんな動機があって国交省に報告したのだろうか。
 JFE商事建材販売という会社は元々は川崎製鉄の子会社である川鉄商事という会社である。2004年に川崎製鉄日本鋼管が合併したのに伴い日本鋼管の子会社だったNKKトレーディングの西日本地区建材部門を吸収し、現社名になったとサイトの沿革に書いてある。
 昨日国交省が発表したふたつの会社からの報告書で見ると2002年9月からは鋼材の仕入れを川鉄商事一本に絞ったという。フジテック側からJFE商事建材販売にSS400材の代わりに SPHC材を納入するといった合意は口頭ですら決してしていないとフジテックは主張。そりゃそうだろう。ここで「え〜、すみません、実は“いい?絶対ミルシート上でもSS400だよ!”ということでSPHCを納入させてました」なんてことを言う奴は絶対にあり得ない。だから、フジテックがいっていることをここで「あぁ、そうですか」と国交省が認めるというのであればそれはミートホープの北海道農政事務所と同じだ。飛ばないブロックである。
JFE商事建材販売から国交省への報告とされている中で素人に理解できない部分は「1997年からは、納入鋼板のクレームに関するフジテックの要望に応じ、SPHC材を中心に納入するようになった」という記述である。どういうクレームなのかが不明。
 フジテック側は、建築基準法が定める強度については調査中としており、弱い鋼材が使われたエレベーターは計1万3208基、エスカレーターも計1190基といわれている(2007年8月4日1時20分 読売新聞)が、これをどう解決していこうとフジテックが考えているのかはわからない。
『ただ、フジテックでは「(担当者は)鋼材の違いがよくわからなかったため、上司にも報告せず、問題の発見が遅れた」として』いるという(2007年8月4日1時20分 読売新聞)記事が事実だとすると、これはプロの資材担当者としては致命的な問題だ。通常の企業であれば、設計担当が鋼材を規定し、その必要トン数を拾って発注を資材購入担当に送る訳だけれども、その受け手が何を頼まれているのかわからないということになる。それでも納入業者に任せっきりになってしまって相手の良いなりにされてしまっていたとすると、それでは何のために資材購入担当がいたのかという話になるはずで、社内では大騒ぎになっているはず。