ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

東日本フェリー

 とうとう東日本フェリーが来月1日から函館-青森間で運航する双胴型の新しい高速フェリー「ナッチャンRera(レラ)」が完成して函館にやってきたのだそうだ。東日本フェリーのテレビコマーシャルでこの船を正面から撮った映像を見た時に、あぁ、遂にこの時が来たのかと思った。双胴船大好き人間が見たら、このwave piercing型の双胴船を見たら「あぁ、INCATの船だな」とわかる。日本の造船所では私の知る限りでこれだけ大きな双胴船を建造した実績を持っているところはないし、wave piercing型の双胴船を実用化したところもないだろう。開発した経験を持つヤードは知っているが、日本ではそれほどの需要が望めないとして諦めてしまったところが大半だ。水槽での模型実験に立ち会ったこともあるし、レジャーボート程度の大きさのプロトタイプに乗せて貰ったこともある。安定性が抜群で、双胴船だからデッキ面積も取れ、フェリーに向いている。今回の一般公募で船名をつけた「ナッチャンRera(レラ)」は全長112m、幅30.5m、water-jetを4機搭載していて満載時の航海速力が36ノットというのだから驚きだ。乗客最大800名、普通車換算で最大350台搭載可能と東日本フェリーのサイトには書いてある。函館→青森が1時間45分。青森→函館が2時間30分でエコノミー大人ひとり5千円である。一度は乗ってみたい。
 昨年こちらでも触れた様にINCATは豪州タスマニアホバートにある。正確にいうとホバートの北、湾に沿ってTasmania Bridgeをくぐって遡ったGoodwoodというところである。こちらのサイトを見ると随分と凝ったサイトだけれども私のような老人には手がこみすぎていてちっともよく見えない。そんなことはどうでも良いのだけれど、このタイプが安定性が良く、スピードが出せ、甲板面積が取れるという利点を生かして海軍用にも採用されていることがわかる。そんなマーケッティングの関係で北米にも拠点を持っている。かつての日本の造船業界から考えると、豪州のような造船後進国と思われる地域からこんなに特殊でいて、しかも実績を誇る造船会社が育つとは考えてもいなかったといって良いだろう。豪州に行くと勿論ホバートではINCATの船を見ることが出来るが、シドニー湾でも、ブリスベンでも、パースでもこの会社の双胴船は見ることが出来る。
2006年の日豪合同セミナーで在日豪州大使館の商務官がようやく努力が実ったのだといっていた言葉を想い出す。なにしろ泣く子も黙る日本の海運局ルールを乗り越えたのだから、その努力たるや相当なものがあったといって良いだろう。それにしても日本側の協力者が誰だったのかを知りたいものだ。良くやったと褒め称えるべきだろうけれど、造船大国日本が遂に外国から船を輸入するようになったのかと思うと半分妬ましいけれど。トホホ・・・。