ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

「ジャズ・カントリー」久しぶりに

 【写真:ソニー・クラークの「Cool Struttin' Blue Note 1588]】帰り道で大型書店に入って懸案の本を探す。すると携帯に珍しいところから電話。30年ほど前から遊びに行くジャズ・レコードをかけている店、「ジャズ・カントリー」からだった。それならと遊びに行く。入ったことのない人にとっては一見、敷居が高そうに見えるらしい。最初は私のように誰かに連れられてきたという人が多いのかも知れないが、初めて同志でやってきたという人にも会う。もっとも、ジャズのレコードがかかっている店というのは昔から、そしてどこでも敷居が高そうに見える。そういえば昨日もひとり、壮年の紳士が扉を開けかけたけれど、夜はコーヒーがないと聞いて戻って行かれた。大丈夫ですよ、お気楽に、といって差し上げたかったなぁ。
 この店は昔懐かしい、そして心地よいレコードを真空管アンプで、そしてJBLで聴かせてくれる。昼間はコーヒーで文句のない音を全身に浴びることができるし、夜は、つまみは乾きものしかないけれど、そうしたジャズをバックグラウンドにウィスキー(私はもっぱらソーダ割りだけれど)と友達と語る楽しみがある。私は良く同じ路地にあってこの界隈ではよく知られた蕎麦(今や何でも屋さんかも知れないが)の「泰明庵」で蕎麦をたぐってから行くことが多い。
 昨日はそうした昔からのここでの知り合いと遭遇し、彼が国立大学時代には美学を専攻し、卒論がモーツアルトだったという話を聞いて驚いた。よもや、彼が美学だったなんて。
 私をここの店に連れて行ってくれたのは職場の2年先輩だった。その人は付き合いのあった商社のひとに連れていって貰ったらしい。行くなり驚いたのはそのレコードが一面を覆い尽くしている壁だった。カウンターを抜けた先の椅子席に座ってJBLと対峙した時のことは今でも覚えている。この30年の間にここで意気投合した友人は数知れないし、数々の著名人にも簡単に紹介して頂いた記憶がある。夜この店を仕切っているのは昼のマスターのお姉さんとカウンターの中におられるチーフ。お姉さんがかつて勤めておられた企業の関係でサッカーのJリーグの関係者には随分ここでお目にかかった。かつては映画会社の人たち、化粧品会社の人たち、デパート業界の人たち、出版業界の人たちと日頃自分の仕事と家との往復だったらとても会うことのできない、そうした人たちに知己を得た。これが自分にとっての大きな財産だと思う。

  • 「ジャズ・カントリー」:東京都中央区銀座6-2-6 B-1 tel:03-3572-7684:夜は3000円くらいからか。

4,500歩