ほぼ足りてまだ欲 その先

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大管長

 モルモン教の15代プレジデント(日本語では「大管長」)であったGordon Hinckleyが先月の末に97歳でなくなったそうだ。そしてThomas S. Monsonが16代のプレジデントに就任した。勿論誰でもが知っているように現在渦中にある共和党の大統領候補としてまだ残っているロムニーモルモン教徒であって、「米国の各宗派の中では4番目に信者の多い宗教(CBSテレビ)」だといわれているらしい。まさかそんなに多くの信者がいるのだとは思わなかった。日本語のウィッキペディアによると「2001年のニュヨーク市立大学の調査では10位に留まる」とされているが、こちらの方がぴんと来るのではないだろうか。私もユタ州以外ではモルモン教徒に出会った記憶がないが、それはそうであってもいわないからかもしれない。コロラドから来たといっていた会社に教えに来ていた英語の教師ものちにSalt Lake Cityであった時に、実は自分はモルモン教徒だといった。
 ゴードン・ヒンクリーの葬儀礼拝は勿論ユタ州、ソルト・レイク・シティーのモルモン・テンプルで行われたのだと思うが、2月2日(土)に行われたその様子は69カ国語で放送されたそうで、その様子はこちらで聴くことができ、その中には勿論日本語も入っている。1時間15分をはるかに超える礼拝である。すなわちそれだけ日本語を母語とする人たちの中にも信者がいるということである。何度も書いているが、彼らのユタ州にある大学、Brigham Young Universityの直ぐ傍にLanguage Centerがあって信者の青年たちは三ヶ月間ここに合宿して伝道に行く先の言語を徹底的に訓練するのだそうだ。だからこそ日本の国内で見る「英語の勉強しませんか?」と誘っていた青年たちは片言の日本語ながら喋ることができるのだそうで、実際にソルト・レイク・シティーの街中を歩いていると日本語で話しかけられることもある。
 モルモン教徒には有名人がたくさんいて日本にも何人も来て馴染んでいるし、米国でも経済界にも政界にもスポーツ界にも何人も活躍している。サンフランシスコのNFLチーム、サンフランシスコ・49ersのQBだったSteve YoungもBYUの出身で、名前からも分かるようにモルモン教の2代目指導者であったBrigham Youngの末裔だといわれている。随分昔のプレイヤーであるが、懐かしいところではゴルフのJohnny Millerがスティーブ・ヤングと同様BYUの出身者である。ロバート・レッドフォード、全米のモーテル・チェーン、Marriottのオウナーもモルモンの信者である。日本では正式には「末日聖徒イエスキリスト教会」と呼ばれているが、通称ではモルモン教だ。有名なところでは齋藤由貴やアメリカからやってきたケント・ギルバートなんてところがよく知られているけれど、多分かなり多くの信者がいるはずだ。
 モルモン教徒の人たちはキリスト教の一宗派なんだと主張しているのだけれど、キリスト教の側は彼らをキリスト教として認めておらず、異端だとしている。そのわけはモルモン教キリスト教聖典とする聖書を完全なものとしないで、彼らの中だけで通用している創始者ジョセフ・スミスの著した「モルモン書」を加えている。ジョセフ・スミスは14歳の時に自宅の裏庭でイエス・キリストが現れ、啓示を受け、金の板を見付ける。この辺はモーゼの石板よりも豪華だ。しかし、モルモン教を批判する人によると、ジョセフ・スミスが書いていることから計算すると、86.9kgにもなってしまい、そんなの人が持てないじゃないかといわれる。→こちらモルモン教は何か教義を変更するたびに、ある日突然啓示を受けて変わっていく。アメリカン・アメリカンを迎えざるをえなくなった時も、それは啓示によって示されたのだそうだ。そして彼らはその教義ゆえに東部から迫害されて西へ逃げ、苦難の流浪(彼らの記念館を見せて貰うと良い、実によく分かり、それまでの知識との整合性をどうして良いのか普通の人であれば悩むことになる)を続ける。そして準州だったユタにやってきて、「This is the Place!」と定住した。しかし、(これは私の憶測だけれども)信者を増やすために彼らの中では一夫多妻主義を実行してきた。1896年、正式に州になる時に彼らは連邦政府に対してこの習慣を止めるという条件を呑んだ。呑んだはずだった。しかし、それは全くなくなったとは報告されていないし、ユタの谷間やローカルな地域に行くとまだ残っているであろうことは想像に難くない。彼らは毎月の収入の一割を献金する。
 ミット・ロムニー共和党大統領候補を見ても分かるようにモルモン教徒はさまざまな分野で活躍をしていて、一般の米国人は宗教的にどうかと思いながらもその実力の前に当然の状態で暮らしているといったらよいだろうか。モルモン・テンプルの聖歌隊というのか、Mormon Tabernacle Choirはつとに有名で、何枚もの聖歌集が出ている。
 CBSテレビの「60minutes」もさっそくこの話題を取り上げ、11年前にMike Wallaceが行ったインタビューを元にヒンクリーとモルモン教のことについて報じた。
 この番組の中でワラスが「あなたもモルモン・ガーメントを着ているんですか」とマリオットのチーフに聞く。これは一体なんの話なのかと思っていた。こちらの話を読んで分かった。下着だという。モルモンの人たちはみんなこんなものを着ているのかと驚いた。あのスティーブ・ヤングですら着ているというのだ。面白い。
 あ、結局こんなことばかり書いていて、やろうと思ったことをやらなかったなり。