ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

暴力団+生活保護

(お断り:状況をきちんと把握することなく、怒り心頭で書き始めてしまったものを、一度状況を見回して、書き直した。)
 いるぞ、いるぞとずっと昔からこうした事例が噂には上っていたし、九州の方では随分と報告されている。
登場人物は元暴力団といわれる(今はどうなんだろう)北海道滝川市黄金町東3丁目、片倉勝彦(42)と妻ひとみ(37)の夫婦。札幌市北区介護タクシー会社「飛鳥緑誠介(あすかりょくせいかい)」取締役の板倉信博(57)、社員の小向敏彦(40)。これが明らかに結託していた側。彼らのやりたいままにしていた側としてかの北海道大学病院の医師、そして実際に認定して垂れ流していた滝川市の職員がいる。
 2006年3月に札幌市から以前住んでいた滝川市に移ってきた夫婦が病気で就労できないと生活保護を申請して認定された。札幌市の主治医は「疾患は重く、地元ではなく慣れた医師が診る方が良い」「入院ではなく、通院が望ましい」という判断を示したといい、これ根拠に介護タクシー代金2億65万円を請求してきた。この夫婦が滝川で暮らしていた家は賃貸の一戸建て。その上札幌市内にもマンションを借りていたことが報じられている。生活保護で給付される住宅費で賄うことができる金額で借りられるわけがない。
 ではなぜ滝川市の福祉課はそうした状況を放置してきたのか。市の幹部は「通院の証明書はあり、少なくとも申請書類に形式上の不備はなかった」「市内の自宅まで出向いても不在だと言われ、面談ができなかった」と述べ、当時としてはやむを得ない判断だったとしている。ということは医師がそうした証明書を発行していたと云うことだ。
 勿論この事実に気が付いた人たちも当然の如くいたわけで、「監査委員は2007年春に検証報告を作成して「考えられない額で現実離れしている」「金が夫婦側に還流しているのではないか」と指摘した。市の顧問弁護士も同時期に「すぐに打ち切るべきだ」と進言。その後、市はようやく腰を上げて滝川署に相談したが、市として具体的な調査に入ることはなかった。正式に被害届を出した2007年11月16日にも約400万円を振り込んでおり、「弱腰」が目立つ(Asahi.com 2008年02月09日15時05分)」と報じられている。
 ところが証明書(診断書?)を発行した北海道大学病院(札幌市)は市がつくった検証委員会の調査協力依頼に対し、患者の個人情報がからむとして、浅香正博院長名で拒否を伝えている。

病状10カ月確認せず 介護タクシー不正 滝川市検証委、対応の不備認める(北海道新聞 2008/01/30 07:46)
【滝川】介護タクシー料金不正受給問題に関する滝川市の内部検証委は2008年1月29日、市の対応を検証する中間報告書をまとめた。「(実務を担当した)市福祉事務所の職務執行に違法性は問えない」とする一方で、「問題ケースとして認識・対応する体制が取られたか疑問」などと不備を認め、再発防止に向け組織的な対応を求めた。報告書は札幌への通院名目で滝川市から約2億4000万円を受給した夫婦への支給記録や、担当職員への聞き取り調査を元にまとめた。介護タクシー利用は医師の診断や道の事務監査に基づいたことや、タクシー利用を証明する会社そのものが受給者と共謀した点を踏まえ「支給はやむを得えず、犯罪を見抜くのは困難だった」と結論づけ、福祉事務所の職務の違法性を否定した。
 ただ「医師の診断や道の監査を尊重するあまり、市民感覚から離れた支給が行われた」と、対応姿勢を疑問視。事務処理などの問題点として(1)支給期間中、主治医への病状確認が十カ月空いた(2)滝川市に先立ち、夫婦に約40万円を支給した実績のある札幌市に対し、支給状況を詳細に確認していなかった(3)滝川市内の業者など複数の見積もりをとらなかった−など、12項目を指摘した。
 その上で再発防止策として、「問題のある受給者に対しては、担当者間で十分な引き継ぎをするなど、福祉事務所として組織的に対応すること」を求めた。
 滝川市では中間報告書とは別に、週内にも福祉事務所が独自の検証結果をまとめ、道と厚生労働省に報告する。一方、同市は30日に、学識経験者や弁護士、市議会議員OBら8人で構成する第三者委員会を設置。中間報告を元に議論を進め、三月中をめどに最終報告をまとめる方針だ。

朝日新聞がまとめたこれまでの経過を見ると働かない公務員というのは社会保険庁だけじゃないということがよく分かる。

asahi.com 北海道2008年02月08日

  • 2006.03夫婦滝川市に転入。市は生活保護の支給を開始。救急車並みの好企画介護タクシーを使用した、札幌市の病院への通院も始まる。
  • 2006.04 市が運賃をタクシー会社取締役の個人口座に振り込み。以後、数十回にわたり、計約2億4千万円を振り込む。
  • 2006.09 市監査委員が市長ら市の主要幹部に「支給額が高額でおかしい」と指摘。市は対応せず。
  • 2007.02 市監査委員が書類などを収集し、調査を開始。
  • 2007.05 市幹部に顧問弁護士が「常識的に不相当。支給打ち切りを検討すべきだ」と直言。監査委員も夫婦らの不正の可能性を指摘する検証結果を市に報告。
  • 2007.06 市が滝川署に相談。しかし、一方で支給は続ける。
  • 2007.11 市が被害届提出。それを受け、滝川署が夫婦ら4人を逮捕。重篤とされた夫がススキノで遊興にふけるなど、診断とかけ離れた実態があることが判明。市は「支給は適正に行われていた」「医師の診断に従った」などと説明。
  • 2007.12 道が特別監査で「保護開始当初の移送を認めたのはやむを得ないが、検討が不適正で組織的対応が不十分」と指摘。厚労省も調査を開始。滝川署は夫婦を覚醒剤取締法違反(使用)容疑で再逮捕。検察は市職員への背任罪適用も視野に捜査。
  • 2008.01 市幹部らでつくる検証委員会が報告書を公表するも、従来の市の説明をなぞり、不十分なものに終わる。夫婦が受診していた北大病院が市検証委の調査を拒否していたことも判明。

「捜査当局は担当者らの背任容疑などでの立件を視野に捜査したが、市が夫婦らから受け取った書類に形式上の不備は無く、「立件は困難」との結論」に達したのだと報じられているが、つまり公務員は書類さえ整っていれば必ず引き受けると云うことが原則と云うことになって、それが事実であろうとなかろうと関係ないのだ、という結論になるのだろうか。もしそうなんだとしたら、こんなに楽な商売はない。しかも今回払った2億円以上の金はどうせ自分の懐が痛むわけではないのだから。これでは公務員は書類さえあればちゃんとした仕事をやらなくて良いのだ、ということになってしまう。となると、その診断書を発行した北海道大学病院の医師はこれだけの額の金を支払うに至った責任を取る必然性がある。こんな状況でどんなに誤魔化しても逃げようがないだろう。