ほぼ足りてまだ欲 その先

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二つめの金メダル

 北島が世界新記録で金メダルを取った。オリンピックなんてまじめに見る気になれないといっていたこの私ですら出かけようという自分の気持ちを押しとどめて、男子百メートル平泳ぎ決勝戦を見た。なんと彼はただひとり59秒を切って見事世界新で優勝した。そして・・あの北島康介が泣いた。そういえば最初の金メダルをとった内柴正人もまた、畳の上で相手が仰向けに倒れたままの状態で泣いた。
 緊張の糸がぷつんと切れるのだろうか。彼ら二人は勝って泣いた。
 平成生まれの女子柔道の中村美里は「金メダル以外は同じだ」と銅メダルを取りながら悔し涙をにじませた。中村と同じ三井住友海上火災保険社員の山岸絵美は今年ドイツ国際で優勝、全日本選抜体重別柔道選手権では谷亮子に勝って優勝したにもかかわらずオリンピックに選出されていない。こうなると。じゃ、山岸がオリンピックに行っていたらどうだったんだよ、という話になる。もうそういう話はたくさんの人に書かれている。
 私はとにかく北京のオリンピックなんてもうどうでもいいよと思っていたから、いや、本当のことをいうとひょっとしてボイコット大会になるんじゃないかと思っていたものだから(チベットのことで世論が盛り上がると思っていたので)、あんまり関心がなかった。
 先々週の週刊金曜日を今日ようやく入手したので、その山口香のインタビュー記事を読んだ。日本柔道連盟の吉村和郎教化委員長は北京五輪代表発表の際に「私に質問しないでください」といったそうで、こりゃ面白い。
 谷亮子は二年間出産・育児で試合に出ていない。でも教化A指定選手から外れていなかった。しかし、体重別に出場して負けた。それでも谷がオリンピックに行った。谷は国際大会に強いからだとちらっと聞いたことがある。そりゃこれまでの選手生活が長いのだから実績はあるに決まっている。山岸はまだ20代そこそこだ。
 もう終わってしまったことだ。銅メダルは取れたのだから、もう話はこれで終わるだろう。しかし、この種の狭い社会の中でのごり押しはその場は良くても将来的にボディー・ブロウの様に効いてくる。確かに柔道の試合を見ていると審判の主観はとても大きい。だから、実績を持っている選手の方が睨みが効いたりするのかも知れない。(まぁ、そんなことがあっちゃならないんだけれど)。しかし、少なくとも勝ち負けの結果がつくスポーツだ。それが勝っても出られないのではなんのためにここまで頑張ってきたのかと悔しいだろう。このクラスの若手には生まれた時期が悪かったではすまされない。
 多分新橋の酔っぱらいの中ではこんな冗談が飛んでいるだろう。「今度トヨタの損害保険のシェアで三井が増えたらしいぜ」。
 これと同じ理由で私は野球の日本チームを心配している。いわゆる「星野ジャパン」である。監督は「これが今の最強チームだ」と啖呵を切ったけれど、今年は自身のチームでもファーム暮らしをしている投手や、肩の不調を訴えていた投手、あるいは明確に故障だった打者なんてのがぞろぞろいる。彼は情にほだされるタイプである。コーチだって六大学野球で同期だった連中で組んでいる。冷徹といわれたかつての広岡のようなタイプではない。上司としては人気があるそうだ。情に篤そうに見えるからだ。しかし、こういうタイプはOne For All, All For Oneと平気でいってしまうタイプで、団体競技ではよいけれど、職場では個人を消せというタイプだ。だから私は上司としては願い下げだ。尤も野球系の指導者にはこのタイプが多い。
 野球はオリンピックではこれが最後だ。だから、まぁ、最後だという気持ちもあるかも知れない。しかし、数の限られたプレイヤーで戦う時は致命傷になりかねない。先日のセリーグ選抜との試合をみると総取っ替えした方が良かったかという話にもなりかねない。
 ま、なんだかんだいってもオリンピックではこれでおつもりだ。つぎのWBCはどうなるんだろう。