たった6チームが参加しただけの東京五輪野球はNPBが金メダル。米国のマイナーリーグ+NPBが銀メダル、ドミニカ共和国のマイナーリーグ+NPBが銅メダルとなった。韓国KBOチームはドミニカ共和国チームに負けた。
日本が勝った勝った!と大騒ぎだったけれど、実際にはこの大会のはるか上に米国のMLBがあるわけで、私のような斜めから物事を見るタイプにいわせると、なんちゅうこともない。一番興味があったのは、各審判によるばらつきはなかったのか、という点と、ボールである。なにしろボールについて聞くと、NPBのミズノ製は縫い目が高く、MLBの中国製は均一性に欠けるし、ツルツルで投げにくいと投手陣には不評である。だから、粘着性物質をあちこちに隠し持つ、といういわれ方をしている。NPBからMLBへ行った投手のほとんどがこのツルツル球と硬いマウンドに悩まされている。
今度の大会に使われた球はSSK製のものだそうで、MLB使用球よりも若干色も白く、打者にとっては見極めやすいという声もあり、投手にとってはしっとり感があって、これなら粘着物質どうのこうのということにはならないという声がある。米国チームの中には仲間に見せたいとできるだけ持って帰った選手がいたそうである。
これで一気にMLBがSSK製のボールを採用に動くか、といったらそうはいかないだろう。あれだけ、試合中に、ファンにどんどんボールをあげてしまうMLBはボールの単価も相当気になる要素だとも思えるからだ。
これでしばらく五輪で野球やソフトボールが競技種目になることはないだろうから、あとはWBCの様なイベントを待つしかないが、真剣な世界一を決める大会はないだろう。そうでなくてはMLBがworld seriesと云っている意味がなくなっちゃうからね。
ところで、今度の大会には、豪州チームが出ていない。なぜかというと、予選でメキシコと対戦することになっていたが、COVID-19のために彼等はメキシコ行きをキャンセルしたのだ。それで五輪出場権を自動的に失った。ところが、もうひとつのチームがどこだったかというと、これがなんとイスラエルである。はっ?イスラエルの野球なんて聞いたことがない。世界のランキング〔そんなものが存在するとは思わなかった〕でも24位である。アジアでプロ野球リーグがある台湾も出ていないのに、イスラエルだ。米国MLBによくいる外国人プレイヤーといったらヴェネズエラが強いはずだ。キューバはどうした?何年か前にU18のWBCを開催したカナダはどうなってんだ。日本チームの中継を聞いていると、その辺のことをなにも解説せず、あまつさえ対戦チームの各選手のプロフィールすら解説しない。つまり、日本チームのための大会であり、中継に徹していたのである。こんなの五輪とはとても言えないのだ。
さて、イスラエルである。
投手
Jeremy Bleich 米国ルイジアナ州出身2008年のMLBドラフト全体44位 NYY。ずっとマイナーや独立リーグ。2018年7月Oaklandでアクティブになりデビュー。その後もマイナー。2020年から球団職員。
Zachary Daniel Weiss カリフォルニア州Irvin出身1992年生まれ イスラエルと米国の二重国籍を持つ。2013年のドラフトでRedsの6巡目指名。2017年Redsの40人に入る。2018年シーズンは開始時にメジャー登録。4月にデビューするも解雇。2019年には独立リーグへ。2020年クリーブランドとマイナー契約。2021年5月Seattleが契約している。2019年のオリンピック予選に出場した。
Alon Leichman 1989年イスラエル生まれ。SeattleのAA Arkansas Travelersのピッチングコーチ UC San Diegoで投手。
Jonathan de Marte 1993年NY州生まれ。独立リーグを歩き、2020は豪州Perthで投げる。2019のオリンピック予選で投げる。
Jake Fishman 1995年Massachusetts生まれ。2016ドラフトでTorontoの30巡目。今年はMiamiのAAAに所属。2017WBCでイスラエルメンバー。2019イスラエル市民権取得。
Alexander Benjamin Katz 1994年NY州生まれ。2015ドラフトでChicago White Sox 27巡目。2017WBCでイスラエルメンバー。2018イスラエル市民権取得。今年はCubsのマイナー。
Shlomo Lipetz 1979年テルアビブ生まれ 42歳である。NYCの「City Winery」というライブハウスレストランの副社長兼音楽ディレクター。10歳の時にドイツであったリトルリーグworld seriesに出場。UC SanDiegoで投手。NYでセミプロ球団でプレイ。2013のWBCから参加。
Joshua Alexander Zeid 1987年コネティカット州生まれ。2009ドラフト Philadelphia10巡目。Houstonに移ってから2013.07メジャーデビュー。種子骨炎に悩まされる。2013WBC参加。2018年引退。2019イスラエル市民権取得。同年Chicago Cubsピッチングコーディネーター。
この先ずっと続けても良いんだけれど、多分、こんなあんばい。これでは、米国のマイナーレベルの大会が五輪だというほかない。日本が勝って当たり前である。