ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

CBS 60 minutes

 WOWOWでMichael Mann, Al Pacino, Russell Croweが出演していた映画「The Insider」(1999)を放映していた。私はこの映画を見ていない。なんで見ていなかったのだろうか。日本で公開されたのは2000年の5月である。大きく人生を切り替えてから2年目のことでひょっとすると映画を見るという余裕がなかったのかも知れない。あるいはAl Pacino, Russell Croweというキャストがどうせこんなに鋭い切り口を表しているという期待を持たなかったのかも知れない。良くある業界もののひとつに過ぎないと思ったのかも知れない。
 何よりも驚くのは舞台がCBSの名物番組「60 minutes」そのものであることで、そこに登場するこの番組の名物キャスターであったマイク・ウォレスが(演じているのはもちろん俳優だけれど)実名で登場する。「ここまで来たらNPRで人生のキャリアーを送るつもりはない」なんていう科白まで出てきちゃう。タバコ会社の以前の社員だったサイエンティストがconfidential agreementを無視して告発に踏み切るが、そこにCBS自体のウェスティング・ハウスによる買収計画が絡んだりして番組への改編圧力がかかるというもの。事実がベースにあるけれど、一部フィクションが入っているという断り書きが最後に流れる。
 なによりもこうした脚本がそのまま実名を使って映画の制作に踏み切ることのできるハリウッドにびっくりする。もちろんこれまでもそうした映画は何本も作られていて、いつも色眼鏡でハリウッドを見ている私にはそのたびに驚かされる。日本で配給した東宝東宝東和はその辺をどのように見ていただろうかと考えるのだけれど、多分あの会社はそんなことは考えていないだろう。キャストを見て行けるかなと思った程度ではないだろうか。日本の映画界でこんな分野を扱うフィルムが作られることはあり得るのだろうか。
 ウィッキペディアによると2006年に「60 minutes」はブッシュ大統領の軍歴についての優遇措置について報じたが、これがねつ造であることが発覚し、担当者4名が解雇されたということが記されている。私はこれも知らなかった。