ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

映画「The Big Short(邦題:マネー・ショート 華麗なる大逆転)」


 ブラッド・ピットが出ているという言葉に踊らされて見に行った人たちは、一体こりゃなんだ!?と思ったに相違ない。それ位、ブラッド・ピットの役はそれっぽいものではない。ひげ面もとってつけたみたいでよろしくない。
 この映画は金融市場のことを良く理解していない人にはわからないと思われる可能性が高い。だからなのか知らないが、東宝が上映しているにもかかわらず、たいして人が入っていない理由なのかもしれない。確かにCDSだ、CDOだ、MBSだとわけがわからん。当時、住宅バブルのまっただ中にいた連中でも本当にわかっていたのかどうか。しかし、この映画では所々で突然登場人物がまるでFour Seasonsの「Jersey Boys」の様に映画を見ている観客に向かって説明を始めたりして、わからせようとする。
 ラスベガスのブラックジャックテーブルで実際に賭けている女性が次に勝つかどうかについて周りにいる見物客が次々に新たな賭を始め出すところはわかりやすくしてくれているだろう。
 レートの良い格付けをとっている債券だって、その実格付けの低い債券が行き詰まったとしたら、金はそっちから上に流れて、結果的に崩壊すると、ドミノ崩しのように模型で見せるところなんかも、わかりやすい。しかし、私のような門外漢は一度、解説を読んでから見た方がより一層わかりやすい。例えば、このあたりなんぞ。こちら
 スタンダード・アンド・プアーズの担当者が出てくる場面で、どうしてこんなサブプライムローンにこんな高い格付けをするんだと聞くと、うちだって商売で、正直につけたらムーディーズ、フィッチなんてところに客を取られちまうんだと叫ぶ。
 ま、そんな程度の実態で、あの驚くほどの馬鹿馬鹿しいバブルがあっという間に膨れるだけ膨れていったという点で恐ろしい市場経済は動いているということになるものなのだということを私たちはそろそろ忘れかけている。
 「これしかない!」という動きは危ないんである。そんな価値観に振り回されたらこんな事になるんだということをもう一度認識した方が良いってことだ。
 「この国」の「最高権力者」は「この道しかない!」と叫んでいないかい?
 それにしても日本の映画だったら漫画に出てくるようなくさい名前の企業が次から次に出てくるわけだろうけれど、ハリウッドでは全部が全部実在の企業名で出てきちゃうのが面白い。
 本編だけでは130分なんだけれど、お知らせ画面から始まると、160分ぐらいになってしまってこりゃながい。