ほぼ足りてまだ欲 その先

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そうはいっても

 東銀座の歌舞伎座がいよいよ建て直されることが決まったそうだ。歌舞伎座のサイトによれば、大正13年の設計は東京藝術学校(現東京藝術大學)岡田信一郎教授の手によるもので、震災、戦災を経て、今の建物自体は修復設計が東京藝術大学吉田五十八教授の手によるもので、1951年1月に復興した。なるほど、戦争に負けてからたかだか6年後に復活していたというだけでも大したものだけれど、今やいかんせん時間が経っている。
 実際に中に入ってみると歌舞伎座の客席は如何にも古い。こんなに小柄な私ですらあそこの客席は窮屈でしょうがない。もうすでに新しいとはいえない新橋演舞場でさえ、足下にバッグを置いても大丈夫だけれど、歌舞伎座ではとんでもないくらいのスペースだ。歌舞伎座には外国人の客も多いのだけれど、彼らがあの小さな椅子に身体を押し込んでいるのを見るのはとても忍びない。大変単純なことをいってしまうが、この客席だけでも改善してくれるなら私は今度の建て替えに反対しない。私は入ったことはないけれど、楽屋の古びた感じはそれはそれは見ていられないんだという話も聞いたことがある。
 そして年齢と共にきつくなる膝への負担を少しでも減らしてくれる造りでないことは、あの複雑に入り組んだ階段で明確だ。上にしか入ったことがないのが露呈して侘びしいけれど、あれは結構きつい。
 現・勘三郎がいうように「鉄筋」ビルの感じになってしまうのはいやだなぁというのもよぉ〜くわかる。確かにあの建物そのものの雰囲気をなくしてしまうのは惜しい。演舞場のような建物にはしてほしくない。なんだかその辺のオフィスビルそのものだもの。色気がなさ過ぎる。そうかといって旧大和銀行ビルのようなうすっぺらい、これで文句がないだろうとケツをまくったような造りも許し難い。
 松竹にそんな力を発揮するだけの度胸があるだろうか。入場券のネット販売という点で東宝をはるかにリードしている先進性は評価するけれど、ここでどこまで完成度の高いものを実現できるかどうか、というところは注目に値する。
 はっきり云って話題造りだけじゃダメよ。