ほぼ足りてまだ欲 その先

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アパだったのか

 例の航空幕僚長が書いた論文というのが一体どこで発表されたものなのか、しらなかったのだけれど、今時はネットで検索すると一発でわかる。なんとこれは例の安倍ちゃんと繋がり、建築偽装でも名前が挙がった、あのアパホテル・グループが募集したという第一回「真の近現代史観」論文コンテストだったのだそうだ。
 最優秀藤誠志賞の受賞者がその航空幕僚長田母神俊雄で懸賞金300万円、全国アパホテル巡りご招待券をいただくのだそうだ。ウェブ・サイトには彼の「論文(とはいってもたかだか3700字程度のもの)」がアップロードされているので、思う存分読むことができる。このコンテストの審査委員長が高名なる上智大の渡部昇一先生で、なるほど「正論」あるいは「諸君!」または「WILL」あたりに掲載されるならば良くありそうなエッセーである。彼の文章の中には引用先が明示してあるものもたまにはあるけれど、その大半はそういう雑誌の常連さんの著書である。優秀賞二編、佳作十編を含めて全てを英訳化し、出版する予定で、12月8日に明治記念館で表彰式、記者会見、パーティーが開かれる予定だとサイトには書かれている。当日どのようなことが行われるのか大変に興味深い。

 多くの昭和史研究家が「客観的な史実を吟味し、それを積み重ねることによって到達する解釈を冷静に見ることが必要」という観点を最近特に強調するのには、こうした「解釈のために史実を組み立てる」という行為が蔓延しやすい環境の中に私たちが暮らしているという事実があるからなんだと再認識する。

 アパの会長は小松基地金沢友の会会長だそうだ。アパが発行する「Apple Town」なる雑誌に社会時評エッセーなるものを書いている藤誠志というのはこの会長のペンネームだそうで、いってみればこの雑誌は彼の個人雑誌だ。やる奴はやるんだね。きっと彼のことだから自民党右派とだけ繋がっているわけではないだろうという推測は可能かも知れない。

 ところで田母神俊雄に関する記事はもちろん産経ニュースが面白い。東大の五月祭で彼がどんな言動を取ったまで掲載してくれていて、寒いユーモアセンスがよくわかる。

 「この論文を選出して、空幕長の立場は大丈夫なのか」との懸念が主催者側にあり、確認を取った際に「(本人から)大丈夫との確認を得た」と渡部昇一審査委員長が明らかにしているのだそうだ(2008年11月2日03時06分 読売新聞)。

 田母神俊雄を平成のガリレオだと絶賛する人もブロッガーの中にはいることをやっぱいちおうここに書いておこうかな。