ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

サンデー・プロジェクト

竹中平蔵金子勝
 竹中の理屈は法人税減税によって企業を最優先し、企業を支えていけば日本は安全だといっているだけだ。金子がいっている産業のフロントと竹中がいっているフロントがまさに異なっている。
 竹中は労働者派遣法を製造業にまで拡げたのは法律違反だった偽装請負を排除するためだといい、なおかつ派遣は全労働者のたかだか2.6%だといっている。この論法で行くとやっぱり日本の製造企業を日本に留めておくためには2.6%の労働者を人質にしても仕方がない、ということになろうか。構造改革は途上であって未完なんだという。
 竹中のずる賢いところは、いってきたことを完成できないところが問題だというところに持って行ってしまうことだ。彼の強みは実際に政治の現場にいたというところに尽きる。いくら金子が正論をいっても「じゃあなたはどうするんだ」といい放てば良いというところにある。

 労働者派遣法を製造業にまで拡大したことを語るときに、常にその支持側(概ね大企業とそれによって支えられている自民党)から提示されるのは「労働の多様性」だ。これは大変に便利な言葉で、その背景にある現実については全くデーターがない。一体誰が言い出したのか知らないけれど、あたかも本当にその「労働の多様性需要」が大量に存在しているかの如くである。
 確かにアルバイト、パート・タイマーが大量に存在している事実はある。こうカテゴライズされるうちの多くの人たちが派遣労働といわれるカテゴリーと大きく異なるのは、彼らは直接雇用であり、派遣は間接雇用であるという点(尤も表面的にではあるけれど)。伊藤忠の丹羽がいう企業が働いてくれといっても所得税の非課税範囲以下でしか働かないという人が多いという主張も、これは卵と鶏の議論でしかない。労働者の所得が充分に実現され、なおかつ働きがいのある職場が確保されるのだったらそうはいわない労働者はより多くいるはずだろう。
 そもそも女性社員が30数歳に達したときに社内定年のようなシステムを振り回して、それ以上の年齢の方たちを自社内の人材派遣企業に移転させていた企業のトップにそんなことをいわれたくない。丹羽が日本の企業の良識といわれているのだとしたら、やっぱり日本の企業を全面的に信頼しろといわれてもそれはやっぱり無理かもなぁ。
 正社員の人員削減のために正面突破をする企業もあるけれど、自らその職場が嫌になるように社員をし向ける企業の如何に多いことか。

(追記:090119:やっぱり思った通りにこのエントリータイトルで書いている人がたくさんいて、その大半が竹中の圧勝だと書いている。殆どの人が竹中の喋りに騙されている。彼がいっていることは「私はやろうとしたけれど、政治と世の中がそれを許さなかった」というに過ぎない。しかも、彼が小泉と一緒になってやって来たことが明確に結果としてプラスになっていないということは事実であって、揺るぐことはない。その点ではまだ八代の方が救われる。小泉にしても竹中にしても、武部にしても、私たちを一体彼らがどこに導いたというのか。)