人事院の谷公士総裁が記者会見をしたというニュースが昨日のテレビで流れた。なんだかことさら慎重に言葉を撰んでいるんだなぁという印象を持った。何が問題になってわざわざこんな記者会見をテレビが報じているのか不思議だと思っていたら、随分前から内閣人事局構想については報じられているのがわかった。甘利行政改革担当大臣と鳩山総務大臣との間で意見が合わないという話から始まっていろいろ報じられている。
「甘利大臣が1月30日に、谷総裁が国家公務員制度改革推進本部(本部長・麻生太郎首相)の会合に欠席する意向を伝えてきたことに怒りをあらわにした(毎日新聞 2009年1月31日 東京朝刊)」と各社が報じたことについて、裏をとらない報道は如何なものか、自分に対する個人攻撃となっているとして記者会見すると切り出したけれど、なんとそこから先はカメラを全部追い出しての記者会見であった。
こうしたやり方そのものがすでに傲慢な態度だということにすら気がついていない役人の世離れした姿を愉しむことができた。その慇懃無礼な様が奴の怒り心頭を如実に表しているというのが良くわかって面白い。こんなやり方がすでに御上意識の現れそのものを示しているという本当の自分の姿が見えていない。「それではカメラには出ていただいて!」といっている木っ端役人がことさら哀れだ。
「甘利大臣から出てこないというのかといわれたから、首相が最後に意向をお示しになる会合で私が反対の意向を表明するのは不適切だと思うから出席はしないけれど、それでも出ろと仰るのなら出るが、とお伝えしたが、それに対しては(甘利大臣からは)なにも仰らなかった」と説明した。
これを伝え聞いた甘利大臣はそれは実態とは違っていて「役人の身でありながら、(首相が主催する会合に)出ないというのかというと多少たじろがれた感じで“いや、これから出ろというのであれば出る”といっていた」と説明したというのだ。
渡辺喜美元行革大臣「人事院がひとりで抵抗するとは思えない。麻生政権は舐められっぱなし」と。
上記の毎日記事によると「人事院は官僚ポストの定数を決める権限を持つ。工程表では、この権限は「内閣人事・行政管理局」に移管される。実現すれば人事院に残る権限は労働条件の勧告や不服審査などに限定される。人事院側はこれに反発、甘利氏は谷総裁と23、26両日、直接交渉したがまとまらなかった。29日午後、人事院幹部は理由を告げず、「総裁は出席しない」と、30日の推進本部会合への「ボイコット」方針を伝えた。」と伝えられていた。
産経新聞は今朝の【主張】で「人事院が機能移管案に反対する主な理由は、国家公務員は労働基本権が制約されており、給与を決める権限が内閣に移れば、給与削減など一方的な労働条件の変更を迫られるという点だ。採用や任用などの権限も移れば、政権に都合のよい人材ばかりが登用され、やがて偏った組織になるとの懸念などがあるという。耳を傾けるべき論点はある(産経ニュース2009.2.3 02:56)」としているけれど結論を「麻生政権は、筋の通らない「人事院の温存」のための抵抗にひるんではならない。」とむすんでいる。
- 谷公士:1940年8月7日生まれ。東京大学法学部卒。1964年:郵政省入省、1998年:郵政事務次官 →2001年:財団法人マルチメディア振興センター理事長、2001年:財団法人郵便貯金振興会理事長、2001年:財団法人日本データ通信協会理事長、2003年:JSAT株式会社取締役会長、2004年:人事官、2006年:人事院総裁(ウィキペディアより)たくさんお金もらってここまで来ているんだろうなぁ。本当かどうか知らないけれどこちらのサイトによると4年前の時点で彼の生涯賃金は合計6億3597万円に達すると推測されているらしい。これを「渡り」というんだろう。
役人の「労働基本権問題」をクリアにしない限り、人事院は反対するべきなんだと主張する観点があるのだそうだ。
「行革事務局幹部は「人事院は閣僚経験者を使って、谷氏の辞任を示唆するような圧力をかけてきた」と証言した。(毎日新聞 2009年1月30日 21時56分(最終更新 1月30日 23時53分))」ここでケツをまくって辞めちまうと国会同意がいる人事である人事院総裁をすぐに決めるってのは大変なことになっちゃうんだぞ、それでも良いっていうのかよ、といっていることになるんだろうけれど、これをその慇懃無礼風に表現するとどうなるのか、一度お伺いしてみたいものだ。