ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

衆院予算委員会

 民主党西村智奈美の質問しか見ていない。少子化問題で質問。生活保護からなぜ母子家庭手当を廃止するのか、たった一年間限りの3-5歳児に対する補助では全く意味をなさない、等々。低い声で淡々と追求する質問には舛添の答えも、与謝野の答えも全くむなしい。

  • 西村:少子化問題に関して質問します。子育て支援について。その前に少子化をどう思うか。わが国の合計特殊出生率は1.26-1.27。産業構造、人口構造を確保するためには2.08が必要といわれているのにもかかわらず、どんどん下がってきた。子育てに関して日本はやさしくとはいえないのではないのか。で、女性が産み控えているのではないか。
  • 与謝野:日本の人口は、明治維新3000万人、戦後7000万人、今は1.25億人。そう考えると今や随分増えた。今は少子化が叫ばれるけれど、直感的にいうと5-6000万人の人口だったら日本は快適だろう。それまでの過渡期の間にどうやって日本の福祉制度を保つかという点では大変なことが起きる。政府が少子化だから子どもをたくさん作ろうといえる立場ではないけれど、生みやすい・育てやすい社会を用意するということだ。あとはご夫婦の間でご判断を戴く、これに尽きる。
  • 麻生:子どもを産んだら愉しいということをこの国はいわない。ちがうかしら。貴方に子どもを産んだら素晴らしいよ、愉しいといってくれる友だちがどれくらいいますか?生んだら大変よという話ばかりしません?そこが一番問題なんじゃないかなぁと思っています。私は43歳で結婚してちゃんと子どもは二人をつくったから一応最低限の義務を果たしたことになるのかもしれない。私自身は今は(子どもを)見ていて結構面白い。私は愉しくやらしてもらっている。皆さんに子育ては愉しいよと今から結婚する人たちにはいっているんだけれど、そんなのは麻生さんだけですよ、といわれるところを見ると、あまり皆さんそういう話をされていないんじゃないですかねぇ。特殊出生率が日本より低いところは幾らもある。フランスやイギリスにいたときには皆さん、子育ては愉しいと仰っていましたから、この国も子どもを育てたら愉しいということをいうべきだと思う。育てやすい経済環境や社会環境が大事だと思う。いずれにしても子どもの声が聞こえない地域というのは寂しい。(麻生は最後にこの「義務」発言を撤回。)
  • 西村:特殊出生率だけを取り上げるつもりはありません。お二人が仰るように産み、育てやすい社会をつくるということに尽きる。イギリスとフランスで子育てが愉しいという話を聞くのにはわけがある。それだけの子育て支援策を国としてきっちりやっているからですよ。子どもは未来の宝だ、社会の宝だといわれるわけです。社会の財産です。一回こっきりの3-5歳の子どもに3.6万円の支給。14兆円だけれど、子どもに関する部分は3651億円で、2.6%と少ないのに、目玉だといっている。これで生まれる経済効果はどれくらいですか。
  • 与謝野:民主党がいっているような子ども手当ができたら、お金があったらやったらいいと思うけれど、それでは5兆円以上かかります。(西村が「私はそこまでいっていません。いっていない事まで答えないでください!」と発言。)現下の大変な不況下で個人の所得が減っている、子育て世代は大変でしょう。大きい額ではないが、何とか支援策になるだろうと計上した。
  • 西村:経済政策ではなくて、子育て手当だということですね。では、なぜ3.6万円で、なぜ3-5歳なのか、なぜ一回こっきりなのか。
  • 舛添:住民税の非課税世帯の保育所の基準額が月額6000円の半額。
  • 西村:初めて聴きました。なぜ全額ではなくて半額か。
  • 舛添:国会でも何度も説明している。補助をする、自らの努力も必要、ということで半額。幼児教育費の子育て世帯を支援するということですから、これでは合理的とは思えない。じゃ、なんで3-5歳かといえば、小学校に入る前の3年間これは幼稚園、保育園に通う、一番全体的に見てここ足りないなぁというところがこの年齢層だということだ。
  • 西村:聞いている方々もこれで納得だという人はきわめて少ないでしょう。3歳未満児だって保育にいっている場合がありますから説得力がないですね。全体的に日本が教育費にかけている予算が少ないのに、なぜここに集中するのか。
  • 舛添:私、今まさに子育て中でありまして、小三、年長です。3-4-5歳の部分は補助が何もない。金がかかります。それぞれの仮定の違いはあるけれど、自分の体験からいってこの年齢層は大変だということです。
  • 西村:厚労省にちゃんと資料を出していただきたい。3-5歳が0-2歳までに比べて重たいというのは根拠がない。明確にして欲しい。所得制限は課さないということになっている。先ほどの三つのなぜに対して明確な答弁がない。この補正予算の中で子育て応援手当の緊急性というのはどこにあるのか。中には年収200万円もいるだろうし2000万円の人も2億円の人もいるだろう。その緊急性はどこにあるのか。
  • 与謝野:所得制限についても議論したが、このくらいの年齢の子供を持っている人は概ね、20代、30代だろう。そのなかにはそんなに収入のある人はないだろうという考えだ。
  • 西村:補正予算の財政規律から見ても問題だ。補正予算は緊急性のあるものにつけるということになっている。そちらの方から(ヤジに向かって)民主党案だってばらまきじゃないか、という声が出ていたけれど全く理念は違う。これを補正に盛り込むのは無理筋だ。少子化担当大臣にお伺いする。理念が明らかになっていないところから見れば選挙むけのばらまきだといわれている。子育て応援特別手当、一回こっきり、3.6万円、3-5歳で良いんですか?
  • 小渕:経済的な負担を軽減する対策は必要。幼稚園、保育園児の家庭には一定の効果がある。今回の補正予算の全体を見て欲しい。困難を抱えた家庭、地域の様々な子育て支援に対する国としての総合的な支援をしている。これで充分かといわれればなかなか充分とはいえないと思います。子どもについては将来の投資ということで根本的な少子化対策を考えて行かなきゃならないと思いますし、これがまず一歩になると思います。
  • 西村:正直なご意見ですね。自治体に給付作業を任せるということですか。
  • 鳩山:同じように自治体を通じてという形。
  • 西村:ドメスティック・バイオレンス被害者に対する定額給付金の給付についてお話ししました。被害者が増えてきている上に、悲惨なケースが増えている。住民票を移せばいろいろなサービスが受けられるけれど、そうはいかないケースが増えている。子育て特別支援について問題になるのではないかと懸念してる。今回も自治体に任せるとまったく同じ問題が出るのではないのか。それでも任せるのか。
  • 鳩山:3-5歳の3.6万円については自治体を通じてお配りすると思っている。DV絡みについては仮処分申請が6件あって、新人がやっているので時間がかかるかと思うけれど、定額給付金はDV被害者が支援措置で住所を移してくれていればいいですが、そうでない人たちもわかっていますからこの人達に特別の支給をするという自治体は287団体あるので、指示はできるけれど、助言はできる。その場合1兆円の基金を使っていただこうお供っている。
  • 西村:その基金も使いにくいし、締め切り時間があるし、また同じことになるのではないかと懸念している。今からでも遅くない、この手続きについては考え直していただきたい。年齢、額もあるけれど、一番の問題は一回限りだというところです。子育ては一年で終わるのではない。恒常的な問題なんだ。この一回こっきりは全くナンセンス。なぜ一回か。
  • 与謝野:毎年出すんなら賛成、一回限りだと反対だという理屈も難しい。財源が豊富なら毎年やっても良いけれど、苦しいところでもやるところはやろうという考え。
  • 西村:最初与党からは三年以内と聞こえてきた。それが一回こっきり。来年もやるんですか?臨時異例の措置だとわざわざ入っているということは今年しかやらないということで、これはばらまきでしょう。
  • 与謝野:ばらまきじゃない。来年これが続けられるような財源があてがあるわけではないので、要望に関しては一年限りであれば認めても良いだろう、ということで合意したのが本当のところだ。
  • 西村:一回限りのばらまきをやって、44兆円の国債の付けが将来世代に行くわけです。私たちの考えはこうした安心感を生み出さない政策とは方向性が違っている。恒常的に年間31.2万円の子ども手当を支給するというのがわれわれの考えで、この財源をどうするのかとヤジが飛んでいるけれど、野党がこういう提案したときだけ自民党からこういうヤジが飛ぶ。財務大臣がいったときは財源はどこにあるというヤジは飛ばない。私たちはこうしたことをやるということをマニフェストに書く。予算をしっかり施行する。これは政府与党にはできない。天下りは止めない。特別法人の改革は中途半端、12.6兆円の天下り団体への予算、こういうものにしっかりメスを入れていく。こうした予算は時限的なものが多い。妊産婦の出産・育児手当も3年だ。これでは安心して子供を産めない。子どものいる世帯の貧困率は極めて高い。児童のいる世帯で働いているひとり親、働いていないひとり親のOECDのデーターを持ってきた。2000年の働いているひとり親の相対的貧困率は日本が6割を切るところまでいく。一位はトルコで6割を超えていた。経年変化して、2000年代中盤になると有業ひとり親の貧困率では日本が一番高くなった。母子世帯については経済支援と就労支援をセットで行われなくてはならない。生活保護母子加算の削減、児童扶養手当の削減には反対である。生活保護母子加算の削減については社会保障関係費を削減するという骨太の影響だ。三位一体改革自治体の負担がより大きくなった。特に生活保護母子加算は削減され、H17から段階的に減らされ、今年になって廃止された。これで幾ら総額収縮できたのか。
  • 舛添:H17から三年間。16-18歳約20億円。15歳以下の母子加算については三年間で約180億円と見込んでいる。就労支援等で増やしているということも付け加えておく。
  • 西村:総額で200億円の削減。これは私は非常に問題だと思う。生活保護母子加算が削減・廃止されたことによってひとり親、特に母子家庭での自立がさらに遅れている。200億円は今度の補正の14兆円のばらまきに対しては非常に額は小さいと考える。母子家族のお母さんが大変な状況であることを大臣はこれまでの議論でわかっていると思う。こんなばらまきをやるくらいなら200億円の母子加算の復活がどうしてできなかったのか。
  • 舛添:なぜ母子加算を削減、廃止をしたかというと、一番大事なのは就業支援、就労する環境を作り出す。例えばお母さんが看護師になりたいといったらそれをきちんと手当する。就学手当、高校に行きたいというこどもがいれば、学校に入る費用を手当てしようという。つまり、就労支援をする、生活支援、養育支援、経済的支援をやる、この四本柱でいこうという理想はよいと思う。働く能力がありながら働こうとしない人はダメですよ、働く能力がなくて、病気なんかで、そういう人には生活保護を提供する、どういうインセンティブを与えて働いてもらうかという理想を追求しなくてはならない。そういう中での政策であって、本当に困っている人にはきめ細やかにやっていこうというものであります。
  • 西村:舛添さんが就労支援はしっかりやっているといっているけれどそれは40億円程度だけで、削減された母子加算200億円から考えると全く足りません。お母さんが働いてもらえるようにという、それは労働に伴った賃金で生活をするというのは基本的な形だと思う。しかし、日本の母子家庭のお母さんはその85%が既に働いている。なぜこんな就労支援を云っているのかといえば、米国型のワーク・フェア、働いていないと支援されないというシステムが入ってきたことが原因だと思うし、働いている85%のお母さんの約半分はパートか臨時ですよ。ますます厳しくなっている。これを余儀なくされている中でいくら働け、働けといってもこれはなかなかうまくいかない。男女間の賃金格差をなくして行かなくてはならないし、保育システムも充実して行かなくてはならないと思います。総合的に含めて母子家庭支援を考えているわけで、私たちは今回の民主党補正予算案に入れていないかも知れないけれど、総合的なパッケージとして母子家庭の母を支援していくことを考えている。200億円の母子加算の復活、子どもと向き合う時間がないというお母さん達に対して復活するべきだと思いますが、総理如何か。
  • 舛添:生活保護における母子加算をなぜ考え直したかといえば、そうじゃない、もらってない母子よりも収入状況が良くなってきている、福祉政策を頑張ってやっているけれど、片一方では生活保護を受けないで母子で一生懸命働いて税金を払っている人たちもいるわけです、そういう人たちの声なき声にも答えていきたいと思っています。そういうバランスの取れたきめの細かい総合的政策をやっていきたいと思っている。
  • 麻生:地域性もありますし、生活保護の多い筑豊が私の選挙区ですから、新潟より現場が身近にある。働いている人たちからの不満の声も出ていることも一部確かです。先ほどの「義務」は不適切なので撤回する。
  • 西村:生活保護を受けないで頑張っているお母さんがたくさんいるから母子加算を廃止するという根拠付けは全く的外れだ。

(自分で聞き取りで文字にしたので、全く一言一句本人の発言と一緒ではないことをお断りしておく。)

 その場限りの対策だけ打っておけば、あとはどうせ政権を取られちゃうんだから良いんじゃないかということか。まさかねぇ・・。
 それにしても母子家庭の生活保護母子家庭加算の削減、廃止についての政府与党の見解、ちゃんと働いてい税金を納めている母子家庭からの不満の声なき声によって削減したという答弁はなんと時代錯誤な回答だろうか。こんな返答は福祉系学部の生活扶助論の回答だったとしたら明らかに「C」にしかならないだろう。
 舛添は自分の小三と幼稚園の年長という二人の子どものことを取り上げて答えるなぞと笑止千万な大臣答弁で、テレビタックルに出ていた頃の彼と比べると、麻生と同じようなレベルにまでおっこってきてしまったのか。

(追記:090512:衆予算委のビデオから上記質疑を書き起こしたのだけれど、こういうやり方を「火事場泥棒」だと書いた奴がいるらしい。国語力がないねぇ。)